定期金に関する権利については、その給付事由が発生しているか否かによって、評価の方法が異なっています。定期金給付事由が発生していない定期金に関する権利の評価方法は、相続税法で定められています。さらに、解約返戻金を支払う旨の定めがない契約において掛金・保険料が一時払いされた場合の評価に使用する「予定利率の複利による計算をして得た元利合計額」は、財産評価基本通達で算式として示されています。
~目次~
1.定期金に関する権利の評価方法
定期金給付事由が発生していない定期金に関する権利のうち、生命保険契約以外によるものについて、相続税法第25条では、次のように評価方法が定められています。原則として解約返戻金の額で評価しますが、契約に解約返戻金を支払う規定がない場合は定められた計算式によって評価します。
(1)定期金給付契約に解約返戻金を支払う旨の定めがある定期金給付契約
定期金給付契約に関する権利を取得した時における解約返戻金の金額
(剰余金の分配額や前納保険料の返還額があれば加算し、所得税の源泉徴収があれば差し引きます。)
(2)定期金給付契約に解約返戻金を支払う旨の定めがない定期金給付契約
イ)掛金・保険料が一時払いで払い込まれた場合
(経過期間(※)につき、掛金・保険料の払込金額に対して、予定利率の複利による計算をして得た元利合計額)×0.9
ロ)掛金・保険料が一時払い以外の方法で払い込まれた場合
(経過期間(※)に払い込まれた掛金・保険料の金額の1年あたりの平均額)×(経過期間(※)に応じた予定利率による複利年金終価率)×0.9
(※)「経過期間」とは、掛金・保険料の払込が開始された時から定期金給付契約に関する権利を取得した時までの期間をいいます。
定期金給付事由が発生していない定期金に関する権利のうち、生命保険契約によるものについては、相続開始の時点での解約返戻金の額によって評価します。この場合も、剰余金の分配額や前納保険料の返還額があれば加算し、所得税の源泉徴収があれば差し引きます。
2.予定利率の複利による計算をして得た元利合計額
上記(2)イ)の場合の「予定利率の複利によって算出して取得した元利合計額」は、財産評価基本通達200-4で、次の算式によって求めることとされています
定期金給付契約に係る掛金・保険料の金額 × 複利終価率
複利終価率=(1+r)のn乗 (小数点以下第3位未満の端数は四捨五入)
r=予定利率
n=経過期間(※)の年数(1年未満の端数は切り捨て)
(※)掛金・保険料の払込が開始された時から定期金給付契約に関する権利を取得した時までの期間
【財産評価基本通達】(その他の財産)
(予定利率の複利による計算をして得た元利合計額)
200-4 相続税法第25条第1号イに規定する「当該掛金又は保険料の払込金額に対し、当該契約に係る予定利率の複利による計算をして得た元利合計額」の算出方法を算式で示すと、次のとおりである。(平22課評2-18外追加)
定期金給付契約に係る掛金又は保険料の金額×複利終価率
複利終価率=(1+r)n (小数点以下第3位未満の端数があるときは、その端数は、四捨五入する。)
上記算式中の「r」及び「n」は、それぞれ次による。
「r」=当該定期金給付契約に係る予定利率
「n」=当該定期金給付契約に係る掛金又は保険料の払込開始の時から当該契約に関する権利を取得した時までの期間(以下本項及び次項において「経過期間」という。)の年数(その年数に1年未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。)