公開の市場等で著しく低い価額で財産を取得した場合

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

個人間において、財産を譲り渡す行為が行われた場合、それは「贈与」として譲り受けた人に贈与税が課せられます(ただし、年間110万円までは控除されて課税されませんので、多くの方には課せられることはないでしょう)。贈与税は1年間の合計額に課税されますので、1月1日から12月31日までに譲り受けたものの価値の合計が110万円を超えている場合、贈与税を納める必要があるのです。
また、単純に無償で提供されたもの以外でも、「贈与とみなされる」場合がありますので、注意が必要です。
例えば、親が子供の借金を肩代わりした場合や、社会通念上あり得ないほど安い価格で財産を譲った場合などは、それらの行為が贈与とみなされるのです。

しかし、年末年始の福袋やバーゲンなどで、あり得ないほど安い価格で購入できることは、一般的に少ないことではありません。これらは、上記の理屈では贈与とみなされるようにも思えます。実際のところはどうなのでしょうか?

1.著しく低い価額で財産を取得した場合

相続税法第7条には、「著しく低い価額の対価での財産の譲渡」について規定されています。そこでは、財産を譲り受ける時に支払った対価が、時価と比べて著しく低い価額だった場合、時価とその価額の差額を贈与されたものとみなすということになっているのです。

この時の「時価と対価の差額」がどれくらいであれば「著しく低い価額」に当たるのかについては、「社会通念上著しく低い」かどうかを都度判断されることになりますので、司法書士や弁護士に相談した方が無難でしょう。

2.公開の市場等で著しく低い価額で財産を取得した場合

ただ、「社会通念上著しく低い価額での取引」としては、バーゲンや閉店セールなどのように一般的に多く存在しており、多くの方が該当してしまっているのが現状です。
この場合も、贈与とみなされるのでしょうか?

その点は、相続税基本通達7-2に規定されており、公開された市場(不特定多数の競争によって価格の決まる市場)で、著しく低い価額に当たる金額で取得しても、贈与税の課税対象にはならないとされています。

この7-2の規定については、仮にこの場合も贈与とみなされるのであれば、市場原理による価格競争を阻害することになりますので、とても重要なものと言えるでしょう。
反面、この規定は租税回避の根拠となる可能性も秘めていますので、あくまでも当人以外の不特定多数の競争によって決まった価格での取引あることがポイントとなります。

【参考】
国税庁 相続税法基本通達

※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。
なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問い合わせ→記事内容に関するお問い合わせ」よりお問合せ下さい。
但し、記事内容に関するご質問や問い合わせにはお答えできませんので予めご了承下さい。


【相続実務アカデミー】実務向け最新の相続知識を無料で!!無料会員登録はこちら
【採用情報 - RECRUIT -】チェスターで一緒に働きませんか?相続業務の魅力・給与・福利厚生ectはこちら
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る