共有財産とは、定義では「複数の人や団体が共同で所有する財産」のことを指します。家族であれば「複数の人間、例えば妻と夫や親と子などが共同で所有する財産」のことを示し、例えば「土地や家屋を複数の共同名義で持っている」場合などを指します。一方企業などで複数の株主が存在する場合、「企業の所有している資産全体を、株主全体が共有財産として持っている。」ということになります。
すなわち、妻と夫が名義上で財産を妻60%、夫40%で保有していた場合に、財産の権利はその財産全体を価額に置き換えた分のうち、妻が60%を、夫が40%を持つことになります。
企業の場合も同様に、ある会社に複数の株主がいて、各々株式保有率が60%、30%、10%であった場合、会社の財産の権利はその財産全体を価額に置き換えた分のうち、株式保有率に従って60%、30%、10%になります。
相続の場合の相続税評価について
複数の人間が相続の対象者であった場合、本来は遺言書や法定相続分、もしくは話し合いや裁判などで、残された相続財産を分割して相続人に遺産の資産の名義変更をする必要があります。その手続きを行わないと、相続税に関して次の項目が適用されます。
すなわち、相続税は「全体の課税額を複数の相続人の人数で割った額で、一人ひとりに課税される。」ということになります。という事は、相続遺産の処理を怠ると法定相続者の中には「遺産を貰えないのに相続税だけ掛かる」というケースが生じることになりますので、注意が必要です。
【財産評価総則基本通達2】(共有財産)
共有財産の持分の価額は、その財産の価額をその共有者の持分に応じてあん分した価額によって評価する。【相続税法基本通達11の2-2】(遺産が未分割の場合の課税価格の計算)
相続税の課税価格は、相続又は遺贈(当該相続に係る被相続人からの贈与により取得した財産で相続時精算課税の適用を受けるものに係る贈与を含む。)により取得した財産の価額及び法第19条第1項の規定により相続税の課税価格に加算される財産の価額の合計額をいうのであるが、未分割の遺産がある場合には、法第55条本文の規定を適用して、各相続人又は包括受遺者の課税価格を計算するのであるから留意する。