広大な市街地山林の相続税評価

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※2018年1月以降発生の相続について、「広大地評価」は適用できません。代わりに「地積規模の大きな宅地の評価」が新設されています。※

市街地にある山林の相続税評価は、当該山林が宅地であるとした場合の1㎡当たりの相続税評価額から、当該山林を宅地に転用するとした場合の1㎡当たりの造成費を控除した価額に、その山林の地積を乗じて計算するのが原則です。では、広大な市街地山林の相続税評価はどう行うのでしょうか。以下で、解説します。

市街地山林の相続税税評価の方法について

市街地山林の相続税評価は、以下のいずれかの方法で行うのが原則です。
(1) 評価対象地を宅地とした場合の1㎡当たりの価額から、評価対象山林を宅地に造成るとした場合の1㎡当たりの造成費(整地、盛土、土止めに要する費用等)を控除した価額に、評価対象地の地積を乗じて計算した金額
(2) 評価対象地が倍率地域に所在する場合には、評価対象地の固定資産税評価額に、評価対象地が属する地域の山林の評価倍率を乗じて計算した金額

広大な市街地山林の相続税評価について

市街地山林の原則的な相続税評価の方法は、上記のとおりですが、評価対象山林が広大地に該当する場合には、その評価の方法は、異なってきます。

相続税評価の原則を定めた財産評価基本通達第2章第4節49-2において、広大地に該当する市街地山林については、通常の市街地山林に適用される評価方式は採用せず、同通達第2章第2節24-4(広大地の評価)で規定する方法を採用すべきと規定しています。

ただし、財産評価通達24-4で評価した価額が、原則的な市街地山林の評価方法で評価した価額を上回る場合には、広大な市街地山林の相続税評価額は、原則的な市街地山林の評価方法を用いて計算した価額となります。

広大地評価とは

財産評価基本通達第2章第2節24-4で規定する広大地評価とは、広大地である宅地に適用される評価方法です。

この方式は、評価対象地が面する路線価に、その地積を乗じ、さらに、下記の広大地補正率を乗ずることで、その相続税評価額を計算するというものです。
広大地補正率=0.6-0.05×広大地の地積/1,000㎡

ここで、広大地とは、その地域における標準的な宅地面積と比較して著しく地積が広大で、かつ、宅地造成をする際に、道路や公園等の公共公益的施設用地の負担が必要になると認められる土地をいいます。

なお、国税庁の質疑応答「広大地評価における著しく地積が広大であるかどうかの判断」においては、宅地が所在する区域ごと、下記の面積を超える宅地などを広大地と判断するとしています。
(1)都市計画法上の市街化区域(三大都市圏以外に所在するもの)     1,000㎡
(2)都市計画法上の市街地区域(三大都市圏に所在するもの)       500㎡
(3)都市計画法上の非線引き都市計画区域内              3,000㎡
(4)都市計画法上の準都市計画区域内                 3,000㎡
(5)非線引き区域及び準都市計画区域で、用途地域が定められている
区域にある宅地             都市計画法上の市街地区域に準じる

なお、上記に該当する地積を有する宅地でも、大規模工場用地に該当する場合と、その宅地の最も合理的な利用方法が高層集合住宅(マンション等)の敷地である場合には、広大地には該当しません。

また、宅地の広大地の評価は、5,000㎡以下の地積を有する宅地のみに適用されるので、
広大地補正率の下限は0.35となります。

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