一般定期借地権が設定されている宅地の評価

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

相続財産の評価は、原則として相続時の時価で行います。相続財産に一般定期借地権が設定されている宅地がある場合、時価はどのように算定すればよいのでしょうか。ここでは、一般定期借地権が設定されている宅地の相続税法上の評価方法について説明します。

1.定期借地権の種類

建物の所有を目的に土地を借りることができる権利を借地権といいます。借地権は大きく分けて普通借地権と定期借地権があります。普通借地権は更新することができますが、定期借地権は契約期間が満了した時点で契約が終了し、更新することはできません。

定期借地権には、次の3つの種類があります。

(1)一般定期借地権

存続期間が50年以上で、契約終了後は原則として更地で返還することになります。公正証書などの書面によって契約する必要があります。

(2)事業用定期借地権

存続期間は10年以上50年未満で、用途は事業用に限られます。契約終了後は原則として更地で返還することになります。公正証書によって契約する必要があります。

(3)建物譲渡特約付借地権

借地権設定後30年以上経過した一定の日に、借地上の建物を地主に相当の対価で譲渡する特約をつけて契約します。建物の譲渡によって契約は終了しますが、借家人として建物を引き続き使用することもできます。契約の方式は特に定められていません。

2.一般定期借地権が設定されている宅地の評価方法

定期借地権が設定されている宅地の評価額は、自用地としての価額から定期借地権の価額を差し引いて求めます。定期借地権の価額の評価方法は財産評価基本通達に定められていますが、一般定期借地権の評価については、国税庁より個別通達が出されており、例外的な方法が定められています。課税上弊害がない限り、当分の間、次のとおり評価することとされています。

【計算式】 課税時期における自用地としての評価 - 定期借地権に相当する価額(※)

※ 課税時期における自用地としての評価×(1-底地割合)×A÷B
 底地割合:路線価図に記載の借地権割合の地域区分に応じて定められた割合
 A:課税時期におけるその一般定期借地権の残存期間年数に応じた基準年利率による複利年金現価率
 B:一般定期借地権の設定期間年数に応じた基準年利率による複利年金現価率

課税上弊害がないとは、次の項目に当てはまらない場合をいいます。

(1) 一般定期借地権の借地権者と借地権設定者の関係が親族間や同族法人等の特殊関係者間の場合
(2) 第三者間の設定等であっても税負担回避行為を目的とすると認められる場合

この場合は、上記の方法によらず、財産評価基本通達で定められた方法によって評価します。上記の方法と比べて「定期借地権に相当する価額」の算定方法が異なりますが、具体的な計算については割愛します。

※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。
なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問い合わせ→記事内容に関するお問い合わせ」よりお問合せ下さい。
但し、記事内容に関するご質問や問い合わせにはお答えできませんので予めご了承下さい。


【相続実務アカデミー】実務向け最新の相続知識を無料で!!無料会員登録はこちら
【採用情報 - RECRUIT -】チェスターで一緒に働きませんか?相続業務の魅力・給与・福利厚生ectはこちら
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る