「定期金に関する権利」とは、定期金給付契約によって、一定の期間、定期的に金銭などの給付を受けるための権利をいいます。具体的には、年金として給付金を受け取る生命保険や個人年金、または年金として受け取る退職金などが当てはまります。
1.定期金に関する権利の評価方法
定期金給付事由が発生している定期金に関する権利については、相続税法第24条で、有期定期金、無期定期金、終身定期金の区別に応じて、次のように評価方法を定めています。個人年金を例にすると、すでに年金が受給できる年齢に達している場合の取り扱いです。
(1)有期定期金
次の①~③のうちいずれか多い金額
①解約返戻金の金額(剰余金の分配額があれば加算し、所得税の源泉徴収があれば差し引きます。)
②定期金に代えて一時金の給付を受けることができる場合には、その一時金の金額
③給付を受けるべき金額の1年当たりの平均額 × 残存期間に応じた予定利率による複利年金現価率
(2)無期定期金
次の①~③のいずれか多い金額
①解約返戻金の金額(剰余金の分配額があれば加算し、所得税の源泉徴収があれば差し引きます。)
②定期金に代えて一時金の給付を受けることができる場合には、その一時金の金額
③給付を受けるべき金額の1年当たりの平均額 ÷ 予定利率
(3)終身定期金
次の①~③のいずれか多い金額
①解約返戻金の金額(剰余金の分配額があれば加算し、所得税の源泉徴収があれば差し引きます。)
②定期金に代えて一時金の給付を受けることができる場合には、その一時金の金額
③給付を受けるべき金額の1年当たりの平均額 × 定期金給付契約の目的とされた者の余命年数に応じた予定利率による複利年金現価率
2.余命年数は完全生命表を参照
上記のうち、終身定期金に関する権利を評価するときに使用する「余命年数」については、法令で定められた指標を参照します。相続税法施行規則第12条の3では、「余命年数」は、「完全生命表」に掲げられている年齢および性別に応じた平均余命(1年未満の端数は切り捨て)とすると定められています。さらに、財産評価基本通達200-3では、その権利を取得した年の1月1日現在で公表されている最新の「完全生命表」を参照することが定められています。
「完全生命表」は、国勢調査等の結果を基にして厚生労働省が5年に一度公表しているものです。ある年齢の人があと何年生きられるかという期待値を平均余命といいますが、「完全生命表」では、男女別、年齢別に平均余命やその他の指標が掲載されています。
【財産評価基本通達】(その他の財産)
(完全生命表)
200-3 相続税法施行規則第12条の3に規定する「完全生命表」は、定期金給付契約に関する権利を取得した時の属する年の1月1日現在において公表されている最新のものによる。(平22課評2-18外追加)
※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。
なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問い合わせ→記事内容に関するお問い合わせ」よりお問合せ下さい。
但し、記事内容に関するご質問や問い合わせにはお答えできませんので予めご了承下さい。