被相続人から居住用の建物などを相続した場合には、それらの家屋にも相続税が課税されるため相続税評価の対象となります。そこで、以下では、家屋を相続した場合、その家屋はどのような単位で評価されるのか等について、以下で解説します。
家屋の定義について
まず、最初に家屋の定義を表示します。家屋とは、住家、店舗、工場、倉庫その他の建物をいいます。また、相続税評価の際には、家屋の所有者が所有する電気設備、ガス設備、給排水施設、衛生施設などの付属施設も、家屋の価額に含めて評価されます。
一方、門や塀、外井戸、庭園施設(庭石、庭木、あずまや、庭池等)などは、相続税評価の際に家屋の価額に含まれません。これらは、独立の財産としてそれぞれの方法に従い、評価されることになります。
家屋の評価単位について
家屋の評価単位についてですが、財産評価法令解釈通達の88で、家屋の単位は、原則として、1棟の家屋ごとに評価する、と規定しています。よって、家屋の相続税評価は1棟ごとに行われることになります。
具体的には、不動産登記においては、1つの家屋には1つの家屋番号が付番されますが、
この登記簿上で、1つの家屋番号が付けられた建物を単位として、相続税の評価が行われます。
なお、マンションなどの区分所有建物については、財産評価法令解釈通達3において、区分所有建物に係る財産の各部分は、建物全体の財産の評価を基とし、各部分の使用収益状況を勘案して計算した各部分に対応する価額で評価する、と規定しています。よって、
通常の家屋とは異なる原則が採用されています。
家屋の評価単位が登記簿上の家屋の単位と一致する理由
マンションなどの区分所有建物を除く通常の家屋の評価単位は、不動産登記簿上の家屋の単位と一致します。その理由は、相続財産の評価方法に関係しています。家屋の相続財産の評価は、原則として、対象家屋の固定資産税評価額に財産評価法令解釈通達別表1に定める倍率(現在は1.0)を乗じて算出されます。
そして、固定資産税評価額は、登記簿上の1棟の家屋ごとに設定されます。相続税財産評価は、固定資産税評価額を基準として定められますから、双方の評価単位を一致させておかないと、財産評価が非常に複雑になるためです。
現在のところ、家屋の固定資産税評価額がそのまま相続財産評価額になりますから、評価単位を登記簿上における1棟の家屋としておけば、相続税評価の際には、原則として、固定資産税評価額をそのまま使用できます。
固定資産税評価額は3年に一度の評価替えがあり、減価償却していくため、どんどん低くなっていくのが通常です。