容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の相続税評価

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容積率とは、不動産や建築の業界で使用される「延べ床面積÷敷地面積」、つまり「敷地面積に占める延べ床面積の割合」を指します。「該当する宅地にどれだけの床面積の住宅を建てることができるか」を示すひとつの指標で、宅地のある用途地域毎に決められているものです。同じ面積の宅地でも用途地域毎に違っています。

容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地とは

例えば路線価道路に面した広い宅地の場合、正面の路線価道路に面した部分から一定の距離までの容積率と、その距離を越えた箇所から宅地の他方の端までの容積率が異なるケースがあります。これが「容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地」と呼ばれます。
ちょうど用途地域の境目の土地の場合、ひとつの宅地が3、4やそれ以上の「容積率が異なる地域にわたる宅地」となるケースもあります。

容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の評価方法

税制面で容積率が異なる2以上の地域にわたる宅地の評価方法は、財産評価総則基本通達によれば次の式を用いて控除割合を計算し、評価額を計算します。
〔1-(容積率の異なる部分に適用される容積率にその部分の面積を掛け算した数値の合計)÷{(正面路線に接する部分の容積率)×宅地の総面積}〕×(容積率が価格に及ぼす影響度)=容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の評価価額から控除する割合
様々な(注)の部分は実際の財産評価総則基本通達の該当箇所を見ていただくものとして、例えば次のようなケースを考えます。
・330平方メートルの宅地のうち、正面路線に接する容積率が300%の部分の面積が100平方メートル、それ以外に容積率200%の部分の面積が200%、容積率150%の部分の面積が30平方メートルある、普通住宅地区の場合。
計算式に各値を代入して控除率を計算すると、次のようになります。
{1-(300%×200平方メートル+200%×100平方メートル+150%×30平方メートル)÷(300%×330平方メートル)}×普通住宅地区影響度0.1
={1-(600+200+45)÷990}×0.1=0.015
従って、この容積率が異なる2以上の地域にわたる宅地の評価は、以前の項目で述べた通りに行ってきた方法で算出した評価価額から、0,015(1.5%)分を控除した額が最終的な宅地の評価価額となります。

【財産評価総則基本通達第2章20-5】(容積率の異なる2以上の地域にわたる宅地の評価)
容積率(建築基準法第52条((容積率))に規定する建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合をいう。以下同じ。)の異なる2以上の地域にわたる宅地の価額は、15((奥行価格補正))から前項までの定めにより評価した価額から、その価額に次の算式により計算した割合を乗じて計算した金額を控除した価額によって評価する。この場合において適用する「容積率が価額に及ぼす影響度」は、14-2((地区))に定める地区に応じて下表のとおりとする。(平11課評2-12外追加、平12課評2-4外・平16課評2-7外改正)

○ 容積率が価額に及ぼす影響度

地区区分 影響度
 高度商業地区、繁華街地区 0.8
 普通商業・併用住宅地区 0.5
 普通住宅地区 0.1

(注)
1 上記算式により計算した割合は、小数点以下第3位未満を四捨五入して求める。
2 正面路線に接する部分の容積率が他の部分の容積率よりも低い宅地のように、この算式により計算した割合が負数となるときは適用しない。
3 2以上の路線に接する宅地について正面路線の路線価に奥行価格補正率を乗じて計算した価額からその価額に上記算式により計算した割合を乗じて計算した金額を控除した価額が、正面路線以外の路線の路線価に奥行価格補正率を乗じて計算した価額を下回る場合におけるその宅地の価額は、それらのうち最も高い価額となる路線を正面路線とみなして15≪奥行価格補正≫から前項までの定めにより計算した価額によって評価する。なお、15≪奥行価格補正≫から前項までの定めの適用については、正面路線とみなした路線の14-2≪地区≫に定める地区区分によることに留意する。


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