広大な市街地原野の相続税評価

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市街地にある原野を相続により取得した場合には、市街地原野の相続税評価が必要になります。では、評価対象地の周辺にある標準的な宅地よりも著しく地積が広大な市街地原野を相続により取得した場合には、その相続税評価はどのようになるのでしょうか。以下では、この問題について解説します。

市街地原野の原則的な相続税評価について

市街地にある原野の相続税評価は、原則として、その原野が宅地であるとした場合の1㎡当たりの評価額から、原野を宅地に転用した場合における通常必要と認められる1㎡当たりの造成費を控除した価額に、評価対象原野の地積を乗じて計算されます。

また、評価対象となる市街地原野が相続税評価上の倍率地域に所在する場合には、その市街地原野の固定資産税評価額に、国税庁官が定める評価倍率を乗じた価額を、相続税評価額とすることもできます。

広大な市街地原野における相続税評価

しかし、相続財産評価基本通達で定める広大地に該当する場合には、上記の原則的な市街地原野の評価方法を用いず、広大な宅地の相続税評価方法を準用してその評価を行います。

さて、広大な宅地の相続税評価方法は、その宅地の路線価にその地積を乗じた価額に、広大補正率を乗じて計算します。ここで、広大地補正率とは、0.6から、0.05に広大地の地積を1,000㎡で除した数値を乗じた数値を控除した数値となります。

例えば、評価対象の市街地原野の地積が2,000㎡だとすると、広大地補正率は、0.6-0.05×2,000㎡/1,000㎡=0.5となります。そこで、仮に、この土地の路線価が100千円/㎡だとすると、当該広大な市街地原野の相続税評価額は、100千円/㎡×2,000㎡×0.5=1億円となり、通常の宅地評価額の50%となります。

なお、広大な宅地の相続税評価に準じて評価した広大な原野の評価額が、原則的な方法で評価した市街地原野の相続税評価額を上回る場合には、原則的な方法で評価した市街地原野の評価額が、広大な市街地原野の評価額になりますので、注意が必要です。

広大な原野における広大とはどのくらいか

広大地補正率を利用した相続税評価が可能になる広大地とは、相続税財産評価によれば、
その地域の標準的な宅地の地積と比較して著しく地積が広大で、都市計画法第4条第12項の開発行為を行うとした場合に、公共公益的施設用地の負担が必要になる地積と定義されています。

よって、広大地に該当するかのどうかの判断は、評価ごとに個別に行わなくてはなりませんが、市街地において開発行為を行う場合に、都市計画法上の開発許可が必要になるのが、
1,000㎡以上(3大都市圏では500㎡)の土地の区画形質の変更とされていますから、1,000㎡以上というのが広大地補正が適用されるかどうかの1つの目安となります。


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