地上権の相続税評価は、確定した地上権の残存期間に基づいて行われるのが原則です。しかし、存続期間を立木一代限りと設定して契約されている地上権を相続により取得した場合には、残存期間が不確定な地上権の相続税評価が必要になります。では、その評価はどのように行うのでしょうか。以下で、解説します。
一般的な地上権の相続税評価について
被相続人が地上権を保有していた場合には、その地上権の相続税評価を行う必要があり、そして、その評価は、相続税法第23条又は地価税法第24条が定める方法によります。
相続税法又は地価税法で定める地上権の相続税評価の方法は、地上権が設定されている土地の自用地(更地)としての相続税評価額に、設定されている地上権の課税時期からの残存期間に応じて同法が定める一定の割合(地上権割合)を乗じて計算される価額となります。
なお、地上権割合とは、地上権の存続期間に応じて、10年以下の場合の5%から、存続期間が50年以上の場合の90%までの範囲内において、それぞれ定められる割合となります。
例えば、地上権が設定されている土地の更地の相続税評価額が1,000万円、設定されている地上権の存続期間が22年とした場合、存続期間が20年超25年以下の地上権割合は30%ですから、当該地上権の相続税評価額は1,000万円×30%=300万円となります。
残存期間が不確定な地上権の相続税評価について
立木一代限りとして設定された地上権は、残存期間が不確定な地上権に該当します。
このように、残存期間が不確定な場合には、そのままでは、相続税法第23条等で定められる法定地上権割合を用いてその相続税評価を行うことができません。
このことについて、相続税評価の基本原則を定めた財産評価基本通達第2章第4節53では、
立木一代限りとして設定されている地上権の相続税評価額は、課税時期の現況により、立木の伐採に至るまでの期間を残存期間として法定地上権割合を定め、それを地上権が設定されている土地の更地価額に乗じて計算した価額とする、と規定しています。
残存期間が不確定な地上権の相続税評価の計算例について
例えば、立木一代限りとして設定されている地上権の目的となる立木がヒノキで、当該立木の所在が東京都多摩地区であるとした場合、当該立木の標準伐期は60年です。
課税時期において、当該立木の樹齢が25年とすると、当該伐採に至る期間は60年-25年
=35年となります。この35年を残存期間とした場合、地上権割合は50%となります。
当該地上権が設定されている土地(山林)を更地とした場合の相続税評価額を300万円とすると、当該地上権の相続税評価額は300万円×50%=150万円となります。