地目上で池沼とは、「不動産登記事務取扱手続準則 第68条8号」において「かんがい用水でない水の貯留池」と定義されています。すなわち「人の手が入らずに発生している水の貯留地」を指します。この点を不動産登記所の登記官が現状を調査して、地目を湖沼と登記するかを判断し登記簿に記載します。
尚、元々湖沼であったものを人工的に整備した場合、地目は整備目的や整備後の状況などの調査に基づいて再検討されます。また、「最初から人工的に造られた水の貯留池」は、その貯留目的から「不動産登記事務取扱手続準則 第68条」によって他の地目になります。
池沼及び池沼の上に存する権利について
湖沼においても、他の地目の土地と同様に賃借権や区分地上権などの権利が発生する場合があり、このために湖沼地域内の整備や湖沼から他の地目に転用する際に影響を及ぼすような場合には、湖沼という地目の土地においても、他の土地と同様に権利が発生し、その権利が金額化した資産とされるために、相続税等の税法上の規定を受けることになります。
池沼及び池沼の上に存する権利の評価
税制上で池沼及び池沼の上に存する権利の評価を行う場合は、「財産評価総則基本通達第2章62:湖沼及び湖沼の上に存する権利の評価」の項目を採用して、池沼を地目上の「原野」に置き換えて評価を行います。評価の方法は、「財産評価総則基本通達第2章57:評価の方式」から「財産評価総則基本通達第2章60-4:土地の上に存する権利が競合する場合の賃借権又は地上権の評価」の内容をそのまま使用します。
なお、現在国税庁が一般に公開している評価倍率表の倍率も、「池沼」の項目への記載が無い場合は、「原野」における記載を適用します。
【財産評価総則基本通達第2章62】(池沼及び池沼の上に存する権利の評価)
池沼及び池沼の上に存する権利の価額は、7-2≪評価単位≫及び57≪評価の方式≫から60-4≪土地の上に存する権利が競合する場合の賃借権又は地上権の評価≫までの定めを準用して評価する。(平3課評2-4外・平11課評2-12外改正)【財産評価総則基本通達第2章7-2】(評価単位)
土地の価額は、次に掲げる評価単位ごとに評価することとし、土地の上に存する権利についても同様とする。(平11課評2-12外追加・平16課評2-7外改正)
(1) 宅地
宅地は、1画地の宅地(利用の単位となっている1区画の宅地をいう。以下同じ。)を評価単位とする。
(注) 贈与、遺産分割等による宅地の分割が親族間等で行われた場合において、例えば、分割後の画地が宅地として通常の用途に供することができないなど、その分割が著しく不合理であると認められるときは、その分割前の画地を「1画地の宅地」とする。
(2) 田及び畑
田及び畑(以下「農地」という。)は、1枚の農 地(耕作の単位となっている1区画の農地をいう。以下同じ。)を評価単位とする。
ただし、36-3((市街地周辺農地の範囲))に定める市街地周辺農地、40((市街地農地の評価))の本文の定めにより評価する市街地農地、40-2((広大な市街地農地等の評価))の本文の定めにより評価する市街地農地及び40-3((生産緑地の評価))に定める生産緑地は、それぞれを利用の単位となっている一団の農地を評価単位とする。この場合において、(1)の(注)に定める場合に該当するときは、その(注)を準用する。
(3) 山林
山林は、1筆(地方税法(昭和25年法律第226号)第341条≪固定資産税に関する用語の意義≫第10号に規定する土地課税台帳又は同条第11号に規定する土地補充課税台帳に登録された1筆をいう。以下同じ。)の山林を評価単位とする。
ただし、49((市街地山林の評価))の本文の定めにより評価する市街地山林及び49-2((広大な市街地山林の評価))の本文の定めにより評価する市街地山林は、利用の単位となっている一団の山林を評価単位とする。この場合において、(1)の(注)に定める場合に該当するときは、その(注)を準用する。
(4) 原野
原野は、1筆の原野を評価単位とする。
ただし、58-3((市街地原野の評価))の本文の定めにより評価する市街地原野及び58-4((広大な市街地原野の評価))の本文の定めにより評価する市街地原野は、利用の単位となっている一団の原野を評価単位とする。この場合において、(1)の(注)に定める場合に該当するときは、その(注)を準用する。
(5) 牧場及び池沼
牧場及び池沼は、原野に準ずる評価単位とする。
(6) 鉱泉地
鉱泉地は、原則として、1筆の鉱泉地を評価単位とする。
(7) 雑種地
雑種地は、利用の単位となっている一団の雑種地(同一の目的に供されている雑種地をいう。)を評価単位とする。
ただし、市街化調整区域以外の都市計画区域で市街地的形態を形成する地域において、82≪雑種地の評価≫の本文の定めにより評価する宅地と状況が類似する雑種地が2以上の評価単位により一団となっており、その形状、地積の大小、位置等からみてこれらを一団として評価することが合理的と認められる場合には、その一団の雑種地ごとに評価する。この場合において、1の(注)に定める場合に該当するときは、その(注)を準用する。
(注)
1 「1画地の宅地」は、必ずしも1筆の宅地からなるとは限らず、2筆以上の宅地からなる場合もあり、1筆の宅地が2画地以上の宅地として利用されている場合もあることに留意する。
2 「1枚の農地」は、必ずしも1筆の農地からなるとは限らず、2筆以上の農地からなる場合もあり、また、1筆の農地が2枚以上の農地として利用されている場合もあることに留意する。
3 いずれの用にも供されていない一団の雑種地については、その全体を「利用の単位となっている一団の雑種地」とすることに留意する。【財産評価総則基本通達第2章57】(評価の方式)
原野の評価は、次に掲げる区分に従い、それぞれ次に掲げる方式によって行う。(昭41直資3-19・昭45直資3-13・昭48直資3-33改正)
(1) 純原野及び中間原野(通常の原野と状況を異にするため純原野として評価することを不適当と認めるものに限る。以下同じ。) 倍率方式
(2) 市街地原野 比準方式又は倍率方式