無保険車傷害保険契約に係る保険金

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自動車事故で死亡や後遺障害を負った場合、遺族や家族の生活費、本人の治療費などのため、加害者には億単位の賠償責任が発生します。その場合、加害者の自賠責保険と任意保険から支払われる場合がほとんどです。
しかし、実は日本で走っている車の4台に1台程度は任意保険に加入していない「無保険車」だということをご存知でしょうか?

事故の加害者が無保険車だった場合でも、自賠責保険には入っているのがほとんどですので、その保険金がおります。しかし自賠責の場合は、最高でも3,000万円までしか支払われません(死亡した場合)。
上述のように賠償金は数億円になることもありますので、まかなえない部分は加害者が個人資産から支払う義務があります。しかし、そんな資産を持っている加害者はほとんどいないでしょう。

そこで、保険会社各社が「無保険車傷害保険」という商品を作りだしました。
今ではほとんどの自動車保険に自動付帯されるこの保険は、もし無保険車が相手の事故で死亡したり後遺障害を負ってしまったりした場合に、加害者の自賠責でまかなえない部分を補填してくれる被害者側の保険です。

1.保険金の税制上の取り扱い

被相続人が死亡したことによって支払われる生命保険や損害保険の保険金(死亡保険金)については、相続財産ではなく受取人の固有財産となります。
しかし、実際のところはそれほど単純な話ではありません。

(1)死亡保険金に対する税金

死亡保険金については、契約者(保険料負担者)と被保険者、受取人の関係によって、かかってくる税金が以下のように違ってきますので、注意が必要です。

Aさん …… 被相続人
Bさん …… 相続人
Cさん …… 相続人でも被相続人でもない人

被保険者 契約者(保険料負担者) 受取人 税金の種類
Aさん Bさん Bさん 所得税
Aさん Aさん Bさん 相続税
Aさん Bさん Cさん 贈与税

つまり、保険料を払っている人から、どんな関係の人に保険金が渡るかによって変わってくるわけです。自分であれば「所得税」、相続人であれば「相続税」、他人であれば「贈与税」です。

(2)みなし相続財産

生命保険や傷害保険において、被相続人が被保険者かつ契約者で、相続人が受取人だった場合、被相続人の死亡によって支払われた保険金は、「みなし相続財産」となって相続税の課税対象となります(上記表の中段)。
しかし、生命保険の保険金は、元来、遺族の生活費や弔慰金としての意味合いが強いため、すべてが課税対象になるわけではなく、以下の非課税枠が設けられています。

非課税枠 = 500万円×法定相続人の人数

(3)無保険車傷害保険に係る保険金

では、上述している「無保険車傷害保険」の保険金は、どう扱われるのでしょうか?

「無保険車傷害保険」の保険金については、本人や遺族の精神的苦痛に対する慰謝料や、生きていれば得られるはずだった所得(逸失利益)を補填する損害賠償になります。
そのため、この保険金については「みなし相続財産」には該当しないと相続税基本通達3-10に規定されています。つまり、相続税が課税されることはありません。
また、同様の理由で所得税についても非課税となっています。

【参考】
国税庁 タックスアンサー No.1750 死亡保険金を受け取ったとき


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