都市計画法等で規定する特別緑地保全地区内にある山林を相続によって取得した場合には、当該山林の相続税評価が必要になります。そして、相続税評価の基本を定めた財産評価基本通達には、当該山林の評価に関する特別の規定がおかれていますが、以下で、それについて解説します。
特別緑地保全地区とは
特別緑地保全地区とは、法律的には、以下に該当する地区のことをいいます。
(1)都市緑地法第12条に規定する特別緑地保全地区
(2)首都圏近郊緑地保全法第4条第2項第3号に規定する近郊緑地特別保全地区
(3)近畿圏の保全区域の整備に関する法律第6条第2項に規定する近郊緑地特別整備地区
具体的には、都市計画法上の市街化区域内等において、樹林地、草地、水沼地などの地区が単独若しくは周囲と一体となって、良好な自然環境を形成しているもので、次のいずれかに該当するものをいいます。
(1)無秩序な市街化の防止となるもの
(2)公害又は災害の防止となるもの
(3)伝統的又は文化的な意義を有するもの
(4)風致・景観がすぐれているもの
(5)動植物の生育地となるもの
ちなみに、特別緑地保全地区に該当すると、地区内における以下の行為が制限されます。
(1)建築物、工作物の新築、改築、増築
(2)宅地造成、土石の採取、鉱物の採取、土地の開墾・形態の変更
(3)竹林の伐採
(4)埋め立て、干拓
(5)その他、緑地保全に影響を与える恐れのある行為
特別緑地保全地区内にある山林の相続税評価について
特別緑地保全区域内にある山林を相続によって取得した場合には、当該山林の相続税評価が必要になります。
この山林の相続税評価については、その指針を定めた財産評価基本通達50-2において、特別の規定が設けられています。
それによると、当該山林の相続税評価額は、通常の山林の相続税評価の方式(財産評価基本通達45から49-2まで)で算定された価額に、100分の80を乗じた価額を控除した金額によって評価するとされます。
この規定によると、特別緑地保全区域内にある山林の通常の方法による相続税評価額が1,000万円だとすると、当該山林の評価額は1,000万円-1,000万円×80/100=200万円となります。
なお、特別緑地保全区域内にある山林でも、林業を営むために立木の伐採が認められる山林で、かつ、純山林に該当するものについては、上記の80%の控除を行わず、通常の相続税評価による方法を行います。
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