特定路線価を用いた相続税評価

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公道には接しないで、私道のみに接する宅地を相続により取得すると、その宅地の相続財産評価が必要になります。この場合に利用できる宅地の評価方法に、特定路線価を用いる方法があります。そこで、以下では、この特定路線価を用いた宅地の相続税評価について解説します。

特定路線価を用いた相続税評価の概要について

宅地の相続財産評価は、原則として、その宅地が接する公道の路線価を使用します。しかし、私道のみに接して、公道に接していない宅地の相続財産評価をする場合、路線価が存在しませんから、路線価を用いた評価ができません。

そこで、このケースでは、「特定路線価設定申出書」に必要事項を記載した上で、納税地を所轄する税務署に提出すると、税務署が、評価対象宅地に接道する私道を公道とみなして、路線価を設定し、その路線価により対象宅地の相続財産評価を行うことができます。

このように、納税義務者からの申出に基づき、税務署が私道を公道とみなして設定した路線価により、公道に接道していない宅地の相続財産評価を行うことを、「特定路線価を用いた相続税評価」といいます。

特定路線価を用いた相続税評価のメリット・デメリットについて

特定路線価を用いる相続税評価には、公道に接道していない宅地の他の評価方法と比較して、メリットとデメリットが存在します。以下では、そのメリットとデメリット、及び、公道に接道していない宅地の特定路線価を用いる方法以外の評価方法について解説します。

特定路線価を用いる相続税評価のメリットについて

特定路線価を用いた相続税評価のメリットは、手続が簡便なことです。納税義務者は、
「特定路線価設定申出書」を税務署に提出すれば、後は、税務署の方で特定路線価を決定してくれますから、納税義務者は、税務署が決定した特定路線価に地積を乗じれば、当該宅地の相続財産評価額が分かりますから、非常に簡単です。

特定路線価を用いる相続税評価のデメリットについて

一方、特定路線価を用いた相続税評価のデメリットは、評価額が割高になることです。一般的には、公道に接道していない宅地の評価額は、公道に接道しているその評価額より
20%~30%低くなります。しかし、特定路線価による財産評価だと、公道に接続していない事情による減額率は10%から15%程度となります。

また、特定路線価による相続税評価を税務署に申し込んだ後は、途中で、他の評価方法の方が相続税を節約できることが明らかとなった場合でも、その評価方法を変更することはできません。一度税務署にこの方法で相続税評価を申込むと、必ず、当該宅地の相続税評価は特定路線価を用いて行われます。

公道に接道していない宅地の特定路線価以外の評価方法について

ちなみに、公道に接道していない宅地の相続税評価で、特定路線価を用いる方法以外の者としては、接道している私道に固定資産評価における路線価が設定されている場合にはそれを用いる方法、接道している私道を隣接する宅地に含め、旗竿地として評価する方法などがあります。


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