被相続人から宅地を相続した場合に、宅地の一部が私道の用に供されている場合があります。このような場合で一定の要件に該当すれば、その宅地の相続税に関する財産評価の際に、一定の減額を受けることができます。以下では、このことについて解説します。
~目次~
財産評価法令解釈通達24について
私道の用に供されている宅地の相続税法上の評価が減額できるという根拠は、財産評価法令解釈通達24において、私道の用に供されている宅地の価額は、通常の宅地として評価した場合の価額の30.%相当額とする、と規定していることです。
また、同通達では、その私道が不特定多数の者の通行の用に供している場合には、その私道は評価しないとも規定しています。評価対象となる宅地の一部が実質的には公衆用道路のような状態であれば、その宅地の財産評価は、公衆用道路的部分を除いた評価となります。
財産評価法令解釈通達24の質疑事例について
財産評価法令解釈通達24に関しては、国税庁に対する様々な照会とそれに対する回答がなされました。それ見ることによって、このテーマに関する理解が深まります。よって、以下でそれらを紹介します。
私道の用に供されている宅地の評価について
まず、倍率地域にある私道については、どう評価するのかという照会に対して、国税庁では、その私道を宅地として倍率方式により評価方法した価額の30%とすると回答しています。
ここで、倍率方式とは、宅地の相続財産評価において、評価対象の宅地の固定資産税評価額に、地域の実情に応じて国税長官が定める一定の倍率を乗じて、その評価額を定める方式のことをいいます。
なお、私道である宅地の固定資産税評価額が私道として評価したものである場合には、その宅地が私道でないものとした固定資産評価額に倍率を乗じた金額の30%とするという考えも同時に示されました。
専用利用している路地状敷地について
私道といっても、その利用者が、私道及びそれに隣接する袋地の所有者1名のみである時は、その私道は、法令解釈通達24による私道の評価減の対象となるかという質疑に対して、国税庁は、そのような私道は、袋地と一体の宅地として評価し、法令解釈通達24による評価減は行わないと回答しました。
財産評価を行わない私道とはどのようなものか?
法令解釈通達24では、不特定多数の者の通行の用に供する私道は、財産評価を行わないと規定していますが、具体的にはどういったものかという質疑に対して、国税庁は、次のようなものが、財産評価を行わない私道であると回答しています。
・公道から公道へ通り抜けできる私道
・行き止まりの私道ではあるが、その私道を利用して不特定多数の者が日常生活にお
いて通行の用に供している私道
・私道の一部にバスの停留所や回転所が設けられており、不特定多数の者が利用して
いる私道
なお、私道が相続税法上の評価の対象になるかどうかは、上記の要件のいずれかを満たすか満たさないかで決まり、対象となる私道の幅員の大小により区別されるものではないという考えも、同時に示されました。
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