市街地から遠く離れた場所にある山林を相続する場合があります。その場合、その山林の相続税評価はどのようになるのでしょうか。以下では、国税庁の財産評価基本通達に従って、市街地の遠方にある山林を相続した場合の相続財産評価の基準について解説します。
財産評価基本通達における純山林の評価
財産評価基本通達第2章第4節の45(1)において、純山林の相続税評価は、倍率方式によると規定しています。そして、同節の47において、純山林の価額は、その山林の固定資産税評価額に、地勢、土層、林産物の搬出の便等の類似する地域ごとに、その地域にある山林の売買実例価額、精通者意見価額等を基にして国税長官の定める倍率を乗じて計算した金額によって評価する、と規定しています。
純山林の評価の具体例について
要約すると、純山林は、その固定資産税評価額に、評価対象地の属する地域ごとに国税長官が定めた倍率を乗じた価額によって、相続財産評価を行います。国税長官が定めた倍率は、財産評価基準書の評価倍率表に全国の各地域ごとに設定されています。また、評価倍率表は、国税庁のホームページから閲覧することができます。
例えば、東京都八王子市裏高尾町の市街化調整区域に所在する山林は純山林とされ、その倍率は1.5となっています。よって、この区域内に所在する固定資産税評価額100万円の山林を相続した場合、この山林の相続税評価額は100万円×1.5=150万円となります。
また、京都市東山区松原町の市街化調整区域に所在する山林は純山林とされ、その倍率は3.1となっています。よって、この区域内に所在する固定資産税評価額100万円の山林を相続した場合、この山林の相続税評価額は100万円×3.1=310万円となります。
相続財産評価における山林の種類について
相続税の評価における山林は、純山林と中間山林、市街地山林の3種類に大別されます。
都市計画法上の市街化区域にあり、土地の財産評価に当たり宅地の価額の影響を受けるような山林を市街地山林といいます。一方、市街化地域から遠方に所在し、宅地の価額の影響を受けることのない山林を純山林といいます。そして、市街化地域の近郊にあり、市街地山林と純山林の中間にある山林を中間山林といいます。