被相続人の死亡後支給額が確定した退職手当金等

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相続税は、相続開始時に被相続人が所有している財産(相続財産)を相続することによって発生します。つまり、相続税の課税対象は、「相続開始時に被相続人が所有していた財産」が原則です。

では、もし相続開始後に、被相続人が勤めていた会社から退職手当が出ることになった場合、そのお金はどうなるのでしょうか?直感で考えると家族などの相続人が相続する気がします。しかしこのお金は、上記の原則「相続開始時に被相続人が所有していた財産」には当てはまりません。このお金を受け取った人には、いったいどんな税金が課せられることになるのでしょうか?

みなし相続財産

ある財産が相続人の死亡によって相続人へ譲渡される場合、その財産について相続開始時に被相続人が所有していなかった場合でも、相続したとみなされます。これら「みなし相続財産」には以下の7種類があります。

1.生命保険金または損害保険金
被相続人の死亡によって相続人などが取得する生命保険金や損害保険金のうち、被相続人が支払っていた保険料に相当する部分(相続税法第3条第1項第1号)

2.退職手当金、功労金など
本来被相続人がもらうはずだった退職手当金や功労金などを、死亡した被相続人の代わりに相続人などが取得するお金や現物(相続税法第3条第1項第2号)

3.生命保険契約に関する権利
被相続人が保険料を負担している解約返戻金のある生命保険で、契約者が被相続人ではない場合、その保険の権利(相続税法第3条第1項第3号)

4.定期金に関する権利
被相続人が保険料を負担している定期金給付契約で、契約者が被相続人ではない場合、その定期金給付契約の権利(相続税法第3条第1項第4号)

5.保証期間付定期金に関する権利
被相続人以外が契約者になっている定期金給付契約で、契約者が生存中もしくは一定の期間にわたって定期金が給付され、もし契約者が死亡した場合は遺族などに定期金か一時金が給付される定期給付契約の権利(相続税法第3条第1項第5号)

6.契約に基づかない定期金に関する権利
被相続人が自分で保険料を負担している契約者で、受取人も自分自身になっている、個人年金保険契約の定期金受給権(相続税法第3条第1項第6号)

7.その他の利益
上記以外にも、「相続財産法人から分与された財産」「低額譲受」「債務免除」「信託」など、被相続人の死亡によって発生した利益について、相続財産とみなされる場合があります。

なお、これらの「みなし相続財産」については、あくまでも「契約などに基づいて得られる権利」に基づいて、被相続人の死亡によって得られる利益ですので、利益を得た場合は相続放棄していても課税されることになります。

また、「みなし相続財産」は相続税法に規定されているもので、民法に規定されている本来の相続財産とは分けて考えられています。併せて、「みなし相続財産」は契約に基づいて得られる固有の権利にもあたるため、遺産分割の対象になりません。

被相続人の死亡後支給額が確定した退職手当金等

上記のように、相続開始時に被相続人が所有していなかった財産でなかったとしても、被相続人の死亡によって支給されたり権利が移譲されたりすることになる財産については、相続税が課税されるのです。
では、もし相続開始から数年経ってから退職手当などの支給金額が決まった場合は、どうなるのでしょうか?

この場合については、財産評価基本通達3-31に規定されており、被相続人の死亡後3年以内に支給が確定した退職手当金等については、相続税の課税対象になることになっています。
なお、被相続人が生前に退職していて、死亡後3年以内に支給が確定した場合も同様に相続税がかかります。

【参考】
国税庁 タックスアンサー No.4117 相続税の課税対象になる死亡退職金


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