貸し付けられている山林を相続によって取得した場合には、当該山林の相続税評価が必要になります。そこで、以下では、その評価方法について解説します。
~目次~
賃借権の目的となっている山林の相続税評価について
賃借権の目的となっている山林の相続税評価は、賃借権が設定されていないとした山林の相続税評価額から、賃借権の価額を控除した価額となります。
なお、賃借権の評価方法は、賃借権が設定されている山林の種類によって異なります。まず、賃借権が設定されている山林が純山林の場合には、その賃借権の価額は、相続税法第23条等で規定されている地上権及び永小作権の評価方法を準用します。
ここで、相続税法第23条で定める方法による地上権又は永小作権の評価額は、賃借権の目的となっている土地を賃借権が設定されていない土地(自用地)とした場合の評価額に、賃借権又は永小作権契約の存続期間に応じて、5%から90%の割合を乗じた価額となります。
一方、賃借権が設定されている山林が市街地山林の場合には、その山林に設定されている賃借権の評価額は、その山林付近にある宅地の借地権価額を斟酌して求めた価額となります。
賃借権が設定されて土地が中間山林の場合には、賃貸借契約の内容等に応じ、相続税法第23条等で定める方法又は近隣の宅地に設定されている借地権の価額を斟酌する方法のいずれかで、その評価を行います。
地上権の目的となっている山林の相続税評価について
地上権の目的となっている山林の相続税評価は、地上権が設定されている山林の自用地としての評価額から、地上権の評価額を控除した価額となります。
なお、ここで、山林に設定された地上権の評価額は、相続税法第23条等の規定を準用することとされていますので、地上権が設定されている土地を自用地とした場合の評価額に、
地上権契約の存続期間に応じ、5%から90%の割合を乗じた価額となります。
区分地上権の目的となっている山林の相続税評価について
区分地上権の目的となっている山林の相続税評価は、区分地上権が設定されていないとした場合の山林の相続税評価額から、区分地上権の価額を控除した価額となります。
ここで、区分地上権の価額は、区分地上権の目的となっている土地の自用地としての評価額に、区分地上権契約の内容に基づく土地利用制限率を基とした割合を乗じた価額を、その評価額とします。
この場合において、例えば、区分地上権の目的がずい道等の所有である場合には、区分地上権契約に基づく土地利用制限率を基とした割合を30/100とすることができます。
区分地上権に準ずる地役権の目的となる承役地である山林の相続税評価について
区分地上権に準ずる地役権の目的となっている承役地である山林の相続税評価は、区分地上権に準ずる地役権の目的となっている承役地である山林の自用地としての評価額から、区分地上権に準じる地役権の評価額を控除した価額となります。
さて、区分地上権に準じる地役権の評価額は、区分地上権に準ずる地役権の目的となっている承役地である山林の自用地としての評価額に、区分地上権に準じる地役権契約の内容に応じた土地利用制限率を基にして定める割合を乗じた価額となります。
【財産評価基本通達51】(貸し付けられている山林の評価)
賃借権、地上権等の目的となっている山林の評価は、次に掲げる区分に従い、それぞれ次に掲げるところによる。(昭41直資3-19・平3課評2-4外改正)
(1) 賃借権の目的となっている山林の価額は、47≪純山林の評価≫から前項までの定めにより評価したその山林の価額(以下この節において「自用地としての価額」という。)から、54≪賃借権の評価≫の定めにより評価したその賃借権の価額を控除した金額によって評価する。
(2) 地上権の目的となっている山林の価額は、その山林の自用地としての価額から相続税法第23条≪地上権及び永小作権の評価≫又は地価税法第24条≪地上権及び永小作権の評価≫の規定により評価したその地上権の価額を控除した金額によって評価する。
(3) 区分地上権の目的となっている山林の価額は、その山林の自用地としての価額から53-2≪区分地上権の評価≫の定めにより評価した区分地上権の価額を控除した金額によって評価する。
(4) 区分地上権に準ずる地役権の目的となっている承役地である山林の価額は、その山林の自用地としての価額から53-3≪区分地上権に準ずる地役権の評価≫の定めにより評価したその区分地上権に準ずる地役権の価額を控除した金額によって評価する。
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