農地等の贈与による財産取得の時期

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贈与は当事者の一方が贈与の意思表示をし、相手がこれを受諾することによって成立します。相続税基本通達では、贈与を受けた場合の財産取得の時期は、書面によるものについてはその契約の効力が発生したとき、書面によらないものについてはその履行のときと定めています。

1.農地贈与の要件

農地を贈与する場合は、双方の意思表示のほかに、都道府県知事または農業委員会の許可が必要となります。これは、農地が資産保有や投機等の対象として農業者でない者によって取得されないようにする目的があるとされています。

耕作をする目的で贈与する場合には、農地法第3条第1項の規定により、農業委員会の許可を受けなければなりません。耕作以外の用途に転用する目的で贈与する場合には、農地法第5条第1項の規定により、都道府県知事(4ヘクタールを超える場合は農林水産大臣)の許可を受けなければなりません。

ただし、市街化区域の農地を耕作以外の用途に転用する目的で贈与する場合は、市街化を推進する観点から要件は緩和されており、農地法第5条第1項ただし書きの規定により、農業委員会に届け出ればよいことになっています。

2.農地等の贈与による財産取得の時期

農地を贈与する場合は、その取得の時期は、許可があった日または届け出の効力が発生した日となります。具体的には、許可書が申請者に到達した日または届出の効力が生じた日として受理通知書に記載された日をいいます。

ただし、停止条件付許可などのように、許可があった日または届け出の効力が発生した日より後に贈与があった場合は、贈与があった日を取得の時期とします。

税務上の配慮から、以下の条件のすべてに当てはまる場合には、許可または届出に関する書類を提出した日に財産を取得したことになります。

(1) 許可または届出に関する書類を都道府県知事または農業委員会に提出した日の翌年1月1日から3月15日までの間に、許可または届出の効力が生じていること。
(2) 当該農地の所有権の移転についての許可等の効力が生じた日からその年の3月15日までの間に、当該農地に係る贈与税の申告書が提出されていること。

なお、農地の所有権の移転についての許可または届出に関する書類を提出した日から許可または届け出の効力が生じる日までの間に、農地の贈与者または受贈者のどちらか一方が死亡した場合には、たとえその者の死亡後に許可書等が届いたとしても、その許可または届け出は無効となります。

【相続税基本通達】 (相続税の納税義務者)
農地等の贈与による財産取得の時期)
1の3・1の4共-10 農地法(昭和27年法律第229号)第3条第1項((農地又は採草放牧地の権利移動の制限))若しくは第5条第1項((農地又は採草放牧地の転用のための権利移動の制限))本文の規定による許可を受けなければならない農地若しくは採草放牧地(以下1の3・1の4共-10においてこれらを「農地等」という。)の贈与又は同項第6号の規定による届出をしてする農地等の贈与に係る取得の時期は、当該許可があった日又は当該届出の効力が生じた日後に贈与があったと認められる場合を除き、1の3・1の4共-8及び1の3・1の4共-9にかかわらず、当該許可があった日又は当該届出の効力が生じた日によるものとする。(昭46直審(資)6、昭57直資2-177改正、平15課資2-1改正、平17課資2-4、平22課資2-12、課審6-15、課評2-22改正)

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