家屋取り壊し後の借地の相続税評価

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借地に家屋を建てて、借地権を所有している状態で、当該家屋を取り壊し例えば駐車場として利用しているような場合の当該地の相続税評価はどのようになるのでしょうか。
土地を貸している側(地主側)としては、自用地として評価するのかもしくは貸宅地として評価できるのか、土地を借りている側は借地権を計上する必要があるのかどうかが問題となります。

家屋取り壊し時点で借地権が消滅したかどうかがポイント

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家屋を取り壊した時点における地主と借地人間での合意事項・契約事項などがポイントとなります。以下の3パターンが考えられると思われます。

【ケース1】借地権の有償譲渡がなされた場合

家屋を取り壊した時点で、地主側が借地人から借地権を有償で買い取るパターンです。
当該ケースでは、

地主側 → 自用地評価
借地人側 → 評価ゼロ

となります。

【ケース2】借地権の無償譲渡がなされた場合

家屋を取り壊した時点で、借地権の無償譲渡、つまり贈与がなされたと考えるパターンです。
この場合には、家屋取り壊し時点で、借地人から地主に対する贈与税の課税が行われます。

相続税評価については、ケース1同様

地主側 → 自用地評価
借地人側 → 評価ゼロ

となります。

【ケース3】借地権がそのままの状態で存続するケース

家屋を取り壊した時点で、地主と借地人において借地権はそのまま存続するという合意(契約)がなされているような場合です。この場合においては、相続税評価は、

地主側 → 貸宅地評価
借地人側 → 借地権評価

を行うことになります。家屋が建っていない状態で、貸宅地評価を行うのは、実務上違和感があると思いますが、契約内容次第ではこうしたこともあり得ます。

契約内容等がはっきりしない場合の対応方法

なお、実務上は、ケース2かケース3かがはっきりしないケースが少なからずあると思います。特に契約や合意事項がない場合については、どのように取り扱えば良いのでしょうか。

家屋取り壊し時点で特に契約書を交わしていなくても、まずは借地契約自体の契約書があればそれを読み込む必要があります。借地権の消滅事項についての記載を確認しましょう。

なお、それを見てもはっきりしないケースの場合、通常は、家屋を取り壊した時点で、借地権は消滅したと捉えることが一般的でしょう。

経年の老朽化に伴い、取り壊した場合には贈与税課税が生じないケースもあります。
非常に判断が難しい論点ですので、慎重に検討する必要があります。

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