被相続人を契約者・被保険者とする生命保険の死亡保険金を請求した場合、死亡保険金と一緒に、前納していた保険料の未経過分が払い戻されることがあります。死亡保険金はみなし相続財産となり、相続税の対象になりますが、未経過保険料はどのように扱えばいいのでしょうか。
~目次~
1.未経過保険料(前納保険料)も相続税の課税対象
>>無料会員に入会すると、実務で使えるオリジナル書式をプレゼント!!生命保険の保険料は、半年払いや年払い、前納払いなどいろいろな支払い方があります。被相続人が契約者・被保険者である生命保険において、被相続人の死亡後に死亡保険金の請求をした場合、期日が到来していない保険料が払い戻されることがあります。この未経過保険料も死亡保険金と同様、相続税の課税対象となります。
1-1.死亡保険金と併せて払い戻される未経過保険料の扱い
生命保険の未経過保険料については、相続税法基本通達3-8により相続により取得したとみなされると規定されています。
相続税法基本通達3-8
法第3条第1項第1号の規定により相続又は遺贈により取得したものとみなされる保険金には、保険契約に基づき分配を受ける剰余金、割り戻しを受ける割戻金及び払い戻を受ける前納保険料の額で、当該保険契約に基づき保険金とともに当該保険契約に係る保険金受取人(共済金受取人を含む。以下同じ。)が取得するものを含むものとする。(昭57直資2-177追加)
この規定により、未経過保険料も死亡保険金と併せてみなし相続財産として相続税の対象となります。また、分配金や割戻金も未経過保険料と同じように、みなし相続財産として相続税の課税対象となります。
1-2.生命保険の権利を相続した場合の扱い
被相続人が契約者である生命保険契約において、被相続人と被保険者が別人である場合、被相続人の死亡によって死亡保険金が支払われることはありません。
例えば、契約者が夫、被保険者が妻という保険契約において夫が死亡した場合、契約者を妻などに変更して保険契約を継続することができます。その場合は、生命保険契約に関する権利が本来の相続財産として相続税評価されます。生命保険契約に関する権利は、解約返戻金相当額によって評価されますが、相続開始時において契約者配当金や未経過保険料がある場合は、それらの額を解約返戻金の額に足した金額が評価額になります。
2.死亡保険金と合わせて支払われる未経過保険料は非課税枠の適用有
生命保険の死亡保険金はみなし相続財産として相続税の対象となりますが、一定の額までは非課税となります。
なお、死亡保険金と合わせて支払われる未経過保険料については同様に非課税枠の対象となります。
死亡保険金の非課税限度額=500万円×法定相続人の数
仮に、被相続人の家族が妻と子供2人だった場合、法定相続人の数は3人となり、死亡保険金に係る非課税限度額は1,500万円となります。
被相続人と契約者・被保険者が同じ生命保険契約で、死亡保険金と併せて未経過保険料などが支払われた場合、未経過保険料を足した金額がみなし相続財産となります。死亡保険金が3,000万円、未経過保険料が50万円とすると、合計の3,050万円から非課税限度額の1,500万円を引いた1,550万円が相続税の課税価格に算入されます。
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