個人向け国債は1年の据置後中途換金が可能ですので、相続財産の中に個人向け国債が含まれていた場合の相続税評価は、その時点(相続開始時点)で中途解約した場合の金額となります。個人向け国債の中途換金額は、財務省の個人向け国債のサイトで計算シミュレーションを行うことができます。
1.個人向け国債とは
>>無料会員に入会すると、実務で使えるオリジナル書式をプレゼント!!個人向け国債とは、1万円単位で購入でき購入後1年経てば中途換金も可能な、国が発行する債券です。償還日(いわゆる満期)と金利の扱いにより、10年変動金利型の「変動10」、5年固定金利型の「固定5」、3年固定金利型の「固定」の3種類が用意され、毎月1回募集が行われています。
固定金利型はもちろん変動金利型にも最低0.05%の利率が保証され、元本および利息の支払いが確定しています。個人向け国債の場合は、中途換金する場合にも債券市場ではなく国が買い取る形となるため債券の価格変動リスクはありません。このような特徴から、預金に次ぐ安全性の高い投資先として保有している方も多い商品です。
2.個人向け国債の相続税評価方法
個人向け国債の相続税評価額は、基本的に課税時点での売却時の価格で評価を行います。個人向け国債は1年後には中途換金が可能です。また、購入後1年未満で相続が発生した場合にも特例として中途換金が可能ですので、現在の取引価格が明確である利付公社債と同様の扱いとなります。そのため、課税発生時点で売却した場合の、次の式で計算できる中途換金時の受取金額で評価を行います。
(算式)受取金額=額面金額+経過利子相当額-中途換金調整金
経過利子相当額とは、発行日または中途換金直前の利子支払日から中途換金日までの間に発生する利子の金額で、「年利率×経過日数/年日数」で計算されます。中途換金調整額とは、国債を中途解約する場合にかかるペナルティです。発行後1年未満の場合は、「受取済利子(税引前)相当額×0.79685+経過利子相当額」、発行後1年以上の場合は、「直近2回分の利子(税引前)相当額×0.79685」となります。
3.個人向け国債シミュレーションサイトを利用して相続税評価額を計算
個人向け国債の相続税評価額は国債を購入した金融機関で計算できますが、個人向け国債のサイトにある「個人向け国債シミュレーション」からも可能です。
このシミュレーションでは、国債の種類を選び、国債の回号と中途換金実施日、額面金額を入力すると、自動的に中途換金額や経過利子額、中途換金調整金が表示されます。相続税評価額を確認したい場合には、中途換金日に被相続者の死亡日を入力すると、相続税評価額となる中途換金額が確認できます。
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