固定電話を設置する際、電話会社との契約形態により、電話加入権があるものとないものが存在しています。したがって、電話加入権の相続税評価は、各々どのようにしたらよいか、迷う方も多いようです。電話加入権に関する基礎知識と相続税評価の方法についてご紹介していきましょう。
~目次~
1.電話加入権とは?~評価する必要のあるものとないもの~
>>無料会員に入会すると、実務で使えるオリジナル書式をプレゼント!!1-1.“ひかり電話”等、加入権なしで電話番号を使用している場合には評価不要
「ひかり電話」や「加入電話・ライトプラン」といった電話サービスは、電話加入権を所有せずに利用することができます。したがって、電話加入権がないのであれば、相続税評価をする必要もありません。
なお、電話加入権を所有しているかどうかについては、使用している電話番号などから判断することは困難です。実際、電話サービスの利用開始にあたり、どのような契約を電話会社と締結していたか、詳細を確認することで、電話加入権の有無を判別することが可能となります。自身で調べてもよく分からない場合には、電話サービスの契約者本人が電話会社の窓口へ問い合わせをおこないましょう。
1-2.電話加入権がある場合には相続税評価の対象となる
電話加入権は、固定電話サービスが提供され始めた当初、電話会社が設備投資の一部を顧客に負担してもらう目的で設けた、加入電話を使用する権利です。もともと、加入電話の新規契約をおこなう際には、「施設設置負担金」を電話会社へ支払い、電話加入権を取得することが一般的でした。したがって、途中で契約変更や電話加入権の売却等をすることなく、そのまま持ち続けている方も存在しています。もし、相続する財産の中に、電話加入権が含まれている場合には、次章以降の方法で相続税評価をおこなうことになります。
2.電話加入権の相続税評価の調べ方
電話加入権の評価額は、国税庁の法令解釈通達「財産評価」における「第7節 電話加入権」に従って決定します。取引相場があるものについては、課税時期において「通常」と判断される時価で評価することが可能です。一方、その他の電話加入権については、国税局長が定める各地域の標準価額で評価するのが一般的で、1本あたり1,500円(全国一律)となっています。
具体的に、地域別・年度別の標準価額を知りたい場合には、国税庁のホームページ「財産評価基準を見る」にアクセスし、調べたい年度と都道府県を選択します。
各都道府県の目次の中で、「2.土地関係以外」の項目内にある「電話加入権の評価」を選択することで、標準価額が確認できます。
3.特殊番号の電話加入権の相続税評価方法
電話加入権の市場価値は、付与されている電話番号によって左右されるケースがあります。電話番号の中でも、1並びや100番などの覚えやすい番号や、ネガティブな印象を与える4989番などの番号を「特殊番号」といい、一般的な電話番号と区別しています。
したがって、特殊番号が付されている電話加入権の評価に際しては、上述の標準価額は適用しません。その代わりとして、売買実例価額や、電話加入権の取引市場に精通している専門家の意見価格などを勘案して、最終的な相続税評価額を決定するルールとなっています。