株式を証券取引所などに新しく上場することを株式の公開と言いますが、株式を公開する途中で被相続人が亡くなった場合相続税はどのように評価すべきなのでしょうか。公募又は売り出しが行われる場合と行われない場合に分けて評価方法を確認してみましょう。
1.公開途上にある株式の相続税評価(公募又は売り出しが行われる場合)
>>無料会員に入会すると、実務で使えるオリジナル書式をプレゼント!!公募とは新しく株を発行して一般で購入してもらい会社の資金を増やすことです。一方、売り出しとは大株主が既に持っている株の一部を一般に売り出すこと。流通する株式に関しては一定の規定があるために、株式を上場したりする場合は、こうした公募や売り出しが必要であることがあります。
では、公開途上で、規定などを受けて公募や売り出しが行われる場合、どのように評価するのが正しいのでしょうか。まず注意したいのが、上場や登録による株式の公募や売り出しではこれまでの株価が参考にならない可能性があるということです。
通常、上場している株式においては課税時期、被相続人が亡くなった日を基準に考えて株式を評価するようにしています。しかし課税時期では、公募や売り出しによって株価が変動する可能性があり、明確な価格が決定してはいません。そのため、公開途上の株式で公募や売り出しが行われる場合は、基本的に登録や上場の前の日までの公開価格を基準に評価を行います。
公開価格というのは、会社が決めるのではなく、競争入札方式など一定の方式を用いて、金融商品取引所や日本証券業協会によって決定される価格のことです。
2.公開途上にある株式の相続税評価(公募又は売り出しが行われない場合)
一方、同じ公開途上の株式であっても公募や売り出しが行われないとなると、基準になる公開価格は明示されません。公募や売り出しが行われない場合は、違った方法で評価しなければならないということです。
国税庁によると、課税時期よりも前の取引価格などを考慮したうえで評価するとなっています。株価の状態を見たうえで個別に評価する必要があるということです。
評価にあたっての明確な基準は発表されていませんが、通常の上場株式の評価と同様に、課税時期から3か月以前を基準に各月の平均価格を評価するという手法が参考になるでしょう。なお、通常の株式においては、課税時期の最終価格のほか、課税時期3か月以内の各月平均価格を算出し、より低い価格をもって評価を行います。
同じ公開途上の株式でも、公募や売り出しを行うかによって評価は全く異なるものとなります。評価の際は、まずは、公募や売り出しを行うのかという点に注目して評価するようにしましょう。