借地権をさらに他の人に賃借した場合の評価方法はどうなるのでしょうか。地主、借地権者間だけでなく、第三者と人物が増えてくると、だれがどの権利を有しているか、また、それぞれの権利の評価方法をしっかりと確認しておく必要があります。今回は、転貸借地権と転貸借地権の相続制評価の方法について解説します。
1.転貸借地権とは?
>>無料会員に入会すると、実務で使えるオリジナル書式をプレゼント!!転貸借地権とは、例を挙げると、地主Aさんから土地を借りた借地権者Bさんが建物を建てることなく、第三者のCさんに土地を貸し第三者のCさんが建物をその土地に建てた場合です。このとき、最初に土地を借りたBさんに発生する権利が「転貸借地権」です。転借人であるCさんに発生する権利は転借権と呼びます。
借地権者Bさんが借りた土地を第三者Cさんに貸すことは転貸になるため、地主である土地の持ち主であるAさんの承諾が必要です。もし第三者Cさんが地主Aさんの許可なく他の人にその土地を譲渡したり、売却したりすると、地主Aさんは第三者Cさんに明け渡しを求めることができます。すなわち借地権者Bさんに契約解除を求めることが可能であり、法律上のトラブルが発生する結果となるでしょう。
2.転貸借地権の相続税評価の方法
では、借地権者から借地を転借した場合の借地権、すなわち転借権はどのように評価するのでしょうか。また、転貸された借地権、すなわち転貸借地権についての評価はどのように行われるのでしょうか。
2-1.計算式
転借権の評価と転貸借地権の評価は、それぞれ次の算式で求めます。自分がどの権利を持っているのか考えましょう。
転借権の価格=自用地評価額×借地権割合×借地権割合
転貸借地権の価格=自用地評価額×借地権割合-転借権の価格
※なお、自用地評価額とは、市街化地域の宅地では路線価に対して、対象の土地の形状など、状況が加味されて決定される評価額です。
転借権の価格を求める場合、借地権の設定回数だけ借地権割合を乗じると考えるとわかりやすいです。そして、転貸借地権の評価では、転借権の価格を借地権の価格から控除して求めます。
2-2.具体的な例で計算
佐藤さんは、鈴木さんから土地を借り、そのまま山田さんに又貸しすることにしました。山田さんはその土地の上に自分の家を建てました。 更地の土地の評価額を1億円とし、借地権割合を 70%とします。
①転借権の価格
山田さんの借地権は、下記のように借地権割合を2回かけて求めます。
1億円×0.7×0.7=4,900万円
②転貸借地権の価格
佐藤さんの転貸借地権は、下記のように、まず鈴木さんから借りた借地権の価格を求めます。
1億円×0.7=7,000万円(借地権価格)
次にこの借地権価額から、上記で求めた山田さんの有する転借権の価格を控除して求めます。
7,000万円(借地権価格)-4,900万円(転借権の価格)=2,100万円