債務免除等を受けた場合

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債務は「借金」と同義に使われることが多い言葉です。しかし実際には、お金の返済義務のことだけではなく、ものの引き渡しや一定の行為を行うなど果たすべき義務のことを指します。義務ですので、もちろん拒否することはできません。拒否するには債権者の同意や契約の破棄手続きなど、債権者と債務者双方の意思表示が必要になっていますので、債務者が勝手に放棄できないものなのです。

しかし、債権(行為を受ける側から見た債務を債権と呼びます)については、債務者へ要求する権利ですので、債権者の判断で権利放棄するという一方的な意思表示だけで、債務を免除することができます。
債権者の一方的な都合で、債務者の同意を得ることもなく債務を免除(債権を要求する権利を放棄)しても、法律上は有効になるわけです。もちろん、債権を放棄する旨の債務免除の契約を締結することで、契約として確実に免除することもできます(債権者がこの債権を担保として何らかの債務を負っている場合や、債務免除することによって第三者に不当な不利益を及ぼす場合は、勝手に放棄することはできないでしょう)。

一方的に債務が免除されてしまうことは、債務者にとって悪いことではないと思われます。しかし、安易に免除することで、余計な負担がかかることがありますので、解説します。

債務免除など

借金を完全にチャラにする債務の免除や、著しく低い対価での債務免除などを債権者が行った場合、債務者は債務の金額を贈与されたとみなされます。もちろん、そもそもの債務より低い金額にはなりますが、相応の納税義務が発生することになるわけです。
もちろん、債務免除になる条件を後付けした場合も、その条件によっては、条件が満たされて債務が免除になった時点で贈与が行われたとみなされることになります。

また、債務を第三者が肩代わりする引き受けや、第三者が債務を弁済した場合、もしその第三者が引き受けや弁済をすることで利益を得ることになれば、その第三者(利益を得た人)に贈与税が課せられます。

以上のように、債権者が一方的に債務免除を行った場合、債務者に思わぬ負担がかかってしまう場合があります。そのため、債務者が経済的に困窮しており、債務を果たすことが明らかに困難な場合は、救済措置が規定されています。もし債務の免除や引き受け、弁済を行っても、債務者が義務を果たすことができない範囲の金額については、贈与税の対象にならないことになっているのです。

【参考】
国税庁 タックスアンサー No.4424 債務免除等を受けた場合

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