上場会社の株式とは異なり、取引相場のない株式には市場価格は存在しません。財産評価基本通達では、取引相場のない株式の評価方法が定められています。その方法は、株式発行会社を支配しているか否かによって、原則的評価方式と特例的評価方式に分かれます。ここでは、株式発行会社を支配していない、つまり同族株主以外の株主の場合に適用される特例的評価方式について説明します。
1.同族株主以外の株主等が取得した株式
財産評価基本通達では、同族株主以外の株主等が取得した株式として次のようなものを定めています。
(1) 同族株主のいる会社の株式のうち、同族株主以外の株主が取得したもの
(2) 中心的な同族株主のいる会社の株主のうち、中心的な同族株主以外の同族株主で、株式取得後の議決権割合が5%未満である者が取得した株式
ただし、課税時期においてその会社の役員である者や法定申告期限までの間に役員となる者が取得した株式は除きます。
(3) 同族株主のいない会社の株主のうち、課税時期において株主の1人およびその同族関係者の議決権割合の合計数が15%未満となる場合におけるその株主が取得した株式
(4) 同族株主のいない会社であって、中心的な株主がいる会社の株主のうち、課税時期において株主の1人およびその同族関係者の議決権割合の合計数が15%以上である場合におけるその株主で、株式取得後の議決権割合が5%未満である者が取得した株式
ただし、課税時期においてその会社の役員である者や法定申告期限までの間に役員となる者が取得した株式は除きます。
2.特例的評価方式
特例的評価方式では、配当還元価額で株式を評価します。配当還元価額は、配当金額をもとに次の算式で求めます。ただし、配当還元価額が財産評価基本通達179(取引相場のない株式の評価の原則)の定めによって計算した金額を超える場合には、財産評価基本通達179の定めによって計算した金額で評価します。
(その株式に係る年配当金額)÷10%×(その株式の1株当たりの資本金等の額)÷50円
※ 年配当金額は次の要件を満たすものとします。
・ 年配当金額は、直前期末以前2年間におけるその会社の剰余金の配当金額の合計額の2分の1に相当する金額を、直前期末の発行済株式数で割った金額とします。1株当たりの資本金等の額が50円以外である場合には、発行済株式数は直前期末の資本金等の額を50円で割った値とします。
・ 年配当金額が2円50銭未満または無配の場合は、2円50銭とします。
・ 特別配当、記念配当等のうち、毎期継続することが予想できない金額は含めません。
189-5 189≪特定の評価会社の株式≫の(5)の「開業前又は休業中の会社の株式」の価額は、185≪純資産価額≫の本文の定めにより計算した1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)によって評価する。(平2直評12外追加、平12課評2-4外改正)
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