ある人が亡くなったとき、その人が持っていた財産は子供や配偶者などに相続されます。相続税というのは、その財産の移動に関して課せられる税金です。そのため、有形無形にかかわらず基本的にすべての財産について課せられます。
しかし、財産そのものの性質や財産の用途などによって、相続税がかからない場合があります。詳しく解説していきます。
~目次~
相続税がかからない財産
相続税は、相続された財産のすべてに対して課せられるのが基本です。しかし、非課税相続財産とされているものも存在していますので、解説していきます。
(1)お墓や仏壇、祭具など
お墓や仏壇、祭具、霊びょうなどは、祖先を敬うもので金銭に換えられるものではないという理由で、相続税の非課税財産とされています。そのため、非常に高価な仏壇仏具などであっても、相続税はかかりません。もし、所有している土地にお稲荷さんや祠などがあった場合、同様の理由で、その土地も相続税非課税となります。
ただし、投資対象として持っていた場合は、当然課税対象となります。
(2)公益性のある事業に使われるもの
慈善事業や学術、宗教などの公益性の高い事業にかかわるものを相続した場合、その事業を継続するために使われることが確実なものに限って、相続税非課税財産となります。
(3)心身障害者共済制度に基づいて支給される給付金を受ける権利
精神や身体に障害のある人もしくはその人を扶養する人が、地方自治体が条例を定めて実施している「心身障害者共済制度」に基づいて支給される給付金を受ける権利を有している場合、その権利は相続財産の対象となります。しかし、この給付金は障害者自立支援という性質のものであるため、相続税の課税対象にはそぐわないものとされ、相続税非課税財産となっています
(4)死亡保険金や死亡退職金
死亡保険金や死亡退職金は、被相続人死亡後の家族の生活費や弔慰金である性質もあることから、非課税財産とされています。しかし、全額が非課税になるわけではなく、以下の式によって算出された金額がそれぞれの非課税財産になります(保険金、退職金それぞれについて、以下の式で算出される金額が非課税となります)。
500万円 × 法定相続人の人数
(※法定相続人の人数については、相続を放棄した人も含めます)
(5)個人経営の幼稚園事業
個人で経営していた幼稚園事業にかかわる財産についても、その幼稚園を継続して経営する場合、非課税財産として認められます。ただし、その幼稚園経営での報酬が適正と認められる金額以内であり、経理が適正に行われている場合に限ります。
(6)国や地方公共団体などへ寄附したもの
相続した財産を相続税の申告期限までに国や地方公共団体、公益事業を行う特定の団体へ寄附した場合、その財産については非課税財産となります。
【参考】
国税庁 タックスアンサー No.4108 相続税がかからない財産
総務省 「障害者自立支援制度における心身障害者扶養共済給付金の取扱いの改善(あっせん)」