相続税基本通達における「返還金その他これに準ずるもの」の意義

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生命保険や損害保険は、基本的にその保険の保険対象の病気や事故などが起こる(保険事故)ことで保険金が支払われます。また、何も起こらなくても満期を迎えれば満期金が支払われる保険や、保険事故が起こらなければ一切支払われることのない、いわゆる「掛け捨て」の保険もあります。
これら種々の保険のうち、保険金が支払われるものについては、その保険金を受け取る権利が相続の対象になり、課税されることになります。ただし、被保険者が被相続人だからと言って、相続人に必ず相続税がかかるわけではありません。その保険の「被保険者」が被相続人であっても、「保険料の負担者」と「保険金の受取人」が誰かなのかによって課税される税金が違ってくるのです。被保険者が被相続人とした場合の税種別について、以下にまとめていますので、確認しておきましょう。

パターン 保険料の負担者 保険金の受取人 課税される税金
A 相続人 相続人 所得税
B 被相続人 相続人 相続税
C 相続人 相続人以外 贈与税

なお、パターンBで被相続人が保険料の一部だけを負担している場合、相続開始までに払い込まれた保険料の中での被相続人が負担した割合分だけ相続税が課税されます。

相続税基本通達における「返還金その他これに準ずるもの」の意義

上記のように保険の権利は相続され、相続された権利に基づいて支払われる保険金に対して課税されます。ただ、保険の権利が相続されるかどうかを判断できなければ保険金の請求もできませんし、当然申告することもできません。そのためには、保険の権利が相続されるかどうかの判断基準が必要になってきます。

その判断基準については、相続税法第3条第1項第3号で規定されている「返還金その他これに準ずるもの」を以て行います(なお、この規定については、相続税基本通達3-39で詳しく定義されています)。

(1)返還金その他これに準ずるもの

「返還金その他これに準ずるもの」というのは、保険契約で支払われるお金のことを指します。具体的には、以下のようなものが該当します。

・保険金 ………… 死亡保険などで、保険事故が発生した場合に支払われるお金です。

・給付金 ………… 保険金以外で保険会社から支払われるお金です。例えば、特約などで手術や入院時に支払われるお金がこれにあたります。

・満期金 ………… 満期型の保険で満期を迎えた場合に支払われるお金です。本来は保険金として支払われるお金の一部ですので、保険金の一種とも言えます。

・解約払戻金 …… 保険を解約した場合に払い戻されるお金です。返還金とも呼ばれます。

これらのお金の支払いについては、当然相応の条件があります。例えば死亡保険であっても、被保険者が自殺した場合などは保険金が支払われないことが多いですし、医療保険では支払われる病気の程度が規定されています。「掛け捨て」の医療保険の場合は被保険者が死亡すればなんの支払いもなく解除されるでしょう。

(2)保険の権利が相続されるかどうか

保険の権利が相続されるかどうかについては、保険契約の内容まで確認し、上述しているような「返還金その他これに準ずるもの」があるかどうかで判断されることになります。
「返還金その他これに準ずるもの」があれば、それは相続することになりますし、なければ相続しません。なお、契約上「返還金その他これに準ずるもの」があっても、条件によって支払われない場合は、相続することはありません。

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