財産を相続した際、受け取った財産の合計額が基礎控除額を超えるような場合には、相続税を納めなければなりません。もし、期限内に支払うことができない、添付資料に不足があって納税額に修正が必要になる、といった場合には重いペナルティが課されます。そこで今回は、相続税申告書に必要な添付資料について見ていきましょう。
~目次~
1.相続税申告書提出の際に必要な添付資料一覧
>>無料会員に入会すると、実務で使えるオリジナル書式をプレゼント!!1-1.一般の場合に必要な書類
ここでいう一般の場合とは、相続時精算課税適用者又は相続税の納税猶予等の特例の適用を受ける人がいない場合のことをいいます。
相続人の中にこうした適用者が含まれていない場合に必要な書類は、以下の通りです。
①相続人全員の印鑑証明書(遺産分割協議書に押印したもの)
②被相続人及び相続時精算課税適用者の戸籍の附票の写し(相続開始の日以後に作成されたもの)
1-2.配偶者の税額軽減の適用を受ける場合に必要な書類
被相続人の配偶者には、配偶者控除というものがあります。配偶者の相続分が、法定相続分か1億6,000万のどちらか多い方の金額以下なら相続税がかからない、という制度です。この配偶者控除のおかげで配偶者には相続税がほとんどかかりませんが、これを利用する場合には、一般の場合に必要な書類に加えて、以下の書類が必要です。
①被相続人の全ての相続人を明らかにする戸籍の謄本(相続開始の日から10日を経過した日以後に作成されたもの)
②遺言書の写し又は遺産分割協議書の写し
③相続人全員の印鑑証明書(遺産分割協議書に押印したもの)
④申告期限後3年以内の分割見込書(申告期限内に分割ができない場合)
1-3.小規模宅地等の特例の適用を受ける場合
小規模宅地等の特例とは、故人と一緒に住んでいた家族の事業用や居住用の宅地の評価額を80%減額できるというもの。これは、生活基盤となる土地に対して大きな相続税が課税されてしまうと、相続人たちの生活が立ち行かなくなる可能性があるため、評価額を減額しようというものです。
ただし、この特例が適用されるのは「自宅の敷地(特定居住用宅地)」「事業に使っていた土地(特定事業用宅地・特定同族会社事業用宅地)」「人に貸していた土地(貸付事業用宅地)」の3種類。自宅と事業に使っていた土地は80%、人に貸していた土地は50%、評価額が減額されます。
小規模宅地等の特例の適用を受けるためには、いくつかの要件を満たすことが必要です。また、特定事業用宅地と居住用宅地の併用、二世帯住宅、老人ホーム入居でも小規模宅地の適用が可能です。
小規模宅地等の特例の適用を受けるために必要な書類は、一般の場合に必要な書類に加え、以下の通りです。
①住民票の写し(相続開始の日以後に作成されたもの)
②被相続人の全ての相続人を明らかにする戸籍の謄本(相続開始の日から10日を経過した日以後に作成されたもの)
③遺言書の写し又は遺産分割協議書の写し
④相続人全員の印鑑証明書(遺産分割協議書に押印したもの)
⑤申告期限後3年以内の分割見込書(申告期限内に分割ができない場合)
被相続人と別居していた親族が小規模宅地等の特例の適用を受ける場合には、上記の書類に加えて、
①戸籍の附票の写し(相続開始の日以後に作成されたもの)
②相続家屋の登記簿謄本、借家の賃貸借契約書など、3年以内に住んでいた家屋が自分や配偶者の所有するものではないことを証明する書類
被相続人がホーム等に入居していた場合は、
①被相続人の戸籍の附票の写し(相続開始の日以後に作成されたもの)
②介護保険の被保険者証の写しや障害者福祉サービス受給者証の写し、ホームに入居していた証明書など
特定事業用宅地等に該当する宅地等なら、総務大臣が交付した証明書が必要です。
特定同族会社事業用宅地なら、
①特例の対象となる法人の定款
②特例の対象となる法人の相続開始直前の発行済株式の総数又は、出資総額と被相続人及び親族とその他被相続人と特別関係のある人が持っているその法人の株式の総数又は出資の総額を記載した書類
貸付事業用宅地に関しては、個別に必要な書類はありません。
1-4.延納申請、物納申請をする場合
相続税はお金での一括払いが基本ですが、お金が用意できない場合には分割払いである延納、土地の他に国債、株式といった受益証券や商品の現物などを代わりに納める物納を選ぶことができます。
延納申請をする際には、
①延納申請書、金銭納付を困難とする理由書、担保目録及び担保提供書、不動産等の財産の明細書
②担保提供関係書類
物納申請をする際には、
①物納申請書、金銭納付を困難とする理由書、物納財産目録
②物納手続関係書類
これらの書類の提出が必要です。
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