年金を受給していた被相続人が亡くなった場合、必ず発生してくるのが未支給年金です。ただし、この未支給年金は、遺族が受け取った場合であっても、相続税としては扱われません。未支給年金を受け取った場合の正しい処理のしかたと請求における手続きについて確認してみましょう。
1.遺族が受け取った未支給年金は相続税ではなく一時所得の対象になる
>>無料会員に入会すると、実務で使えるオリジナル書式をプレゼント!!被相続人が受け取るはずだった未支給年金を相続人が受け取った場合、それは相続とはみなされません。年金の性質が、生活を保障するためのものであり、財産としてみなされないためです。
それでは、未支給年金を受け取ったら税金はかからないのかと言うと、そういう訳でもありません。相続税の課税対象にはならないものの、一時所得として計上する必要があります。一時所得になるということは、申告する必要があるということですので注意しましょう。
ただし、一時所得には控除がありその金額が50万円を超えなければ、申告をする必要がなく税金もかかってきません。
2.未支給年金の意味と遺族の請求手続き
通常年金の支払いは、2か月ごとに行われ、後払いでの支払いになります。後払いで支払われるということは、被相続人が亡くなるまでの間の空白の期間ができてしまうということです。
被相続人は亡くなるまでに年金を受け取る権利があったということで、この被相続人の受け取り権利があった、つまり亡くなるまでの空白期間の年金を未支給年金と言います。なお、未支給年金の対象となるのは、老齢基礎年金や遺族基礎年金などの国民年金の他、厚生年金や共済年金などです。
なお、未支給年金は手続きを行わないと受け取ることができません。請求が可能なのは、被相続人と生計を一にしていた、配偶者や子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹など三親等以内の親族です。年金受給権者死亡届書を提出することによって請求することができます。
3.まとめ
未支給年金は相続税の課税対象にならないということを解説しましたが、相続税の性質には該当しないため、たとえ相続放棄をしたとしても受け取ることができるものです。相続放棄をした方も請求可能ですので、未支給年金を受け取る場合は必要書類の用意をしておきましょう。なお、手続きにあたっては専用の書類の他に、被相続人の年金証書や被相続人との関係が分かる戸籍謄本などの書類、生計をともにしていたことが証明できる住民票などの書類も必要です。