親族がなくなった場合、悲しんでばかりもいられません。相続税など税金上の手続きもしなくてはならないためです。相続税が少しでも減税できたらうれしい、そんな方も少なくないでしょう。いったいどのような財産や条件であれば、相続税が非課税となるのでしょうか。
~目次~
1. 相続税が非課税となる財産の一覧と説明
>>無料会員に入会すると、実務で使えるオリジナル書式をプレゼント!!1-1. 日常礼拝をするもの
信仰している宗教で、日常的に礼拝をしているものは相続税がかかりません。具体的には、墓地や墓石などお墓に関するもの、仏壇や神棚、また、そこに祭るものなどです。ただし、投資対象となるものや、商品として所有しているものである場合はこの限りではありません。例えば、骨とう的な価値のある仏具や仏像などは、相続税の対象となります。
1-2. 公益事業のために使われる財産
確実に公益を目的とした事業に使われる財産は、相続税が非課税となります。しかし、公益を目的としていればどのような事業でもよいわけではありません。事業の種類・規模・運営の3点において、公益が増進する事業であると認められる必要があります。
種類としては、宗教、社会福祉などの慈善事業、図書館・博物館や育英などの学術に関連することなどの11種類と、それらを助成するが事業が対象です。規模としては、社会的に認識される規模であること、かつ、事業運営のために必要な施設や財産があることが必要な条件となります。運営の条件は、事業による公益が適切かつ平等に分配されることと、対価が原則として無料であることです。これらの条件を満たす公益事業であれば、相続税非課税の対象となります。
1-3. 心身障害者のための給付金を受ける権利
心身障害者のための給付金のうち、地方公共団体による心身障害者扶養共済制度条例によって給付金を受ける権利は、相続税が非課税となります。条例以外の給付金に関しては相続税が課税されるため、注意が必要です。
1-4. 一定額の生命保険金と退職金
生命保険金と退職金のうち、一定額までは相続税非課税となります。詳しくは「2.生命保険金や退職金にも相続税が一定額非課税となる枠がある」でご説明いたします。
1-5. 個人経営の幼稚園事業に利用されていた財産
個人で経営していた幼稚園の土地や建物など、幼稚園の事業に利用されていた財産も非課税対象となります。ただし、個人経営であればどのような幼稚園でもよいわけではありません。相続人が引き続き幼稚園を運営していくこと、適切に事業を運営していくことなど一定の要件が必要とされます。
1-6. 公益を目的とした寄付や公益信託
一部の寄付や信託も、相続税非課税の対象となります。ただし、この特例は一定の条件を満たさなければなりません。まず、寄付や信託で支出する金銭が相続した財産であることです。続いて、寄付または公益信託は、相続税の申告提出期限までに行われなければなりません。最後に、寄付の場合は特定の公益法人が設立済みであること、公益信託の場合は特定の公益法人として認められることが重要です。
1-7. 交通事故死により受け取った損害賠償金
交通事故が原因で受け取った損害賠償金のうち、被害者が交通事故死したために受け取った損害賠償金は相続税が非課税となります。ただし、被害者が生存していた場合はこの限りではありません。損害賠償金を受け取る予定があったけれども、受け取り前に死亡してしまったケースでは相続税が課税されます。
2.生命保険金や退職金にも相続税が一定額非課税となる枠がある
生命保険金や退職金も、一定額までなら非課税となります。非課税となる金額は、500万円に法定相続人の人数をかけあわせたものとなります。例えば、法定相続人が3名なら、1500万円、5名なら2500万円が非課税限度額となります。
なお、法定相続人の中に相続放棄した人がいても、法定相続人として人数に加えることが可能です。この計算式は、あくまでも相続人が相続した場合に適用される計算式であり、相続人以外が生命保険金や退職金を受け取った場合にはこの対象とはなりません。ご注意ください。
3.まとめ
相続税の課税・非課税にはさまざまな条件が課されています。申告期限も無限ではありません。期限内に申告・手続きできなければ、非課税とならないこともあります。個人では解決が難しいと感じたら、できるだけ早く相続税に詳しい税理士に相談するとよいでしょう。
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