相続税の非課税財産(相続税法12条)について解説

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相続税の非課税財産(相続税法12条)について解説

相続税では、すべての財産が課税の対象となる訳ではありません。一部課税の対象外として認められている財産があります。非課税財産となるのは、相続税法12条に定められた6つの財産。それぞれの財産の内容や注意点を確認してみましょう。

1.相続税法12条には6つの非課税財産がある

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相続税法12条では、相続税の非課税財産ということで、6つの財産が記載されています。該当する財産は、皇位継承で皇嗣が受けたもの、墓所や祭具などに準じたもの、公益事業を行う個人が相続し公益事業のために使用することが確実なもの、地方自治体の障害者共済制度による給付金の権利、保険金の一部、退職手当の一部です。

非課税財産のうち、相続人が取得した保険金や退職手当については、非課税財産であるものの、非課税対象となる金額が定められているので注意しましょう。

2.各非課税財産の解説

非課税財産には6つの種類がありますが、具体的にはそれぞれどのような要件があり、なにが対象となるのか解説していきます。

2-1.皇室経済法の規定で皇嗣が皇位継承とともに受けたもの

相続税法12条の1に定められている非課税財産が、皇位継承とともに皇嗣、つまり次の天皇が継承したものです。皇室において適用されるものとなるため、1項目を除いたものが基本的に非課税財産になると考えると良いでしょう。

2-2.墓所や祭具などに準じるもの

墓所や祭具に準じるものというのは、墓地や墓石のほか、仏壇など礼拝に関係してくるものです。このような祭具などについては、文化的な側面が強いため、非課税の対象になります。ただし、相続税の計算で控除される葬式の費用に、非課税財産に該当する墓地や墓石、仏壇などは含まれませんので注意しましょう。

逆手に考えれば、被相続人が生前に墓地などを購入している場合、相続時に非課税財産になるため、その分税金が考慮されるということです。墓地や仏壇を購入する場合は、生前にしておいた方が、節税の面ではメリットがあると考えられます。

2-3.公益を目的とした事業に使われるもの

相続人が政令の定める、宗教や学術、慈善など公益事業を行っていた場合で相続や遺贈を受けた場合は、一定の条件のもと非課税財産にできるということです。一定の条件というのは、相続などを受けた後、公益の事業において使用することが確実であるときです。さらに、相続税法第12条の2項では、財産を取得してから2年経過した日でも公益目的の事業で使用していることとなっています。2年経過した日に公益事業用として使用していない場合は、相続税の課税価格に算入しなくてはなりません。

2-4.心身障害者共済制度の給付金の権利

地方自治体の実施している、精神や身体に障害がある人への共済制度において、障害のある本人、または障害のある人を扶養する人が給付金を受ける権利については、課税されないということです。

2-5.相続人の取得した保険金の一部

契約者・被保険者が被相続人で、かつ受取人が法定相続人であった場合、500万円に相続人の数をかけた金額が非課税となります。相続人が2人であった場合は、1,000万円までの保険金が非課税となるということです。なお、相続を放棄した人が保険金を受け取った場合は、その受け取った保険金分は非課税対象になりませんので注意したいところです。

2-6.相続人の取得した退職手当の一部

退職手当を相続した場合についても、保険金と同じく、1人あたり500万円に相続人の数をかけて非課税額を算出します。法定相続人が3人であれば、1,500万円までの退職手当額が非課税になるということです。

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