納税猶予の特例の適用を受けた休耕地をその後転用した場合

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

農地等を贈与した場合には、贈与者の死亡時点まで、贈与者に対して課税される贈与税の納税が猶予され、この制度のことを納税猶予の特例といいます。では、休耕地に当該特例が適用された場合で、贈与後に当該休耕地を転用された場合、当該特例はどう扱われるのでしょうか。以下では、この問題について解説します。

納税猶予特例とは

納税猶予特例とは、農業を営む一定の者が、その推定相続人にその所有する農地や準農地(採草牧草地等)を贈与した一定の場合には、その農地等の受贈者に課税される贈与税の
の一部を、原則として、贈与者が死亡した日まで、その納税を猶予するという制度のことです。

そして、当該特例の正式な名称を「農地等を贈与した場合の贈与税の納税猶予の特例」と(以下「納税猶予特例といいます。」)いいます。

納税猶予特例は、以下の各号に掲げる事実があった場合には、その時点で猶予が終了し(猶予期限が確定し)、受贈者に贈与税の納税義務が生じます。
(1)当該特例の対象となる農地等の20%以超える農地等について、譲渡、贈与、放棄、転用を行った
(2)当該贈与者の推定相続人に該当しなくなった
(3)受贈者が、本特例の適用を受けることをやめる意思表示をし、その届出書を税務署に提出した

納税猶予の特例の適用を受けた休耕地とは

納税猶予特例は、贈与があった時点で農業の用に供されていない土地については適用さ
れないのが原則です。

しかし、以下の要件を満たした場合には、例外的に、農業の用に供されていない土地でも、
本特例が適用されます。
(1)災害、疾病の為に、やむを得ず一時的に農業の用に供されていない土地
(2)土地改良・土地区画整理事業等の施行にため農業の用に供することができない土地
(3)国又は地方公共団体が行う公共事業の施行ため農業の用に供することができない土地

上記から、納税猶予特例の適用を受けた休耕地とは、上記の(1)から(3)のいずれか
に該当することによって、休耕地であるにもかかわらず、本特例の適用を受けた土地の
ことをいいます。

納税猶予の特例の適用を受けた休耕地をその後転用した場合

ある方から、贈与時点で、災害や疾病の為にやむを得ず一時的に休耕地となっていると
いう理由で、当該休耕地について納税猶予の特例の適用を受けた場合について照会がな
されました。

その内容は、の上時猶予特例の適用を受けた当該土地の受贈者が、当該土地を農地に供
しないまま転用をした場合に、転用した時点で納税猶予が終了するのか、それとも納税
猶予は最初から無効になるのか、というものでした。

これに対して、国税庁は、同ケースでは、転用があった時点で納税猶予は終了し、受贈
者に納税義務が生じると回答しました。

この質疑応答が「納税猶予の特例の適用を受けた休耕地をその後転用した場合」となり
ます。


【相続実務アカデミー】実務向け最新の相続知識を無料で!!無料会員登録はこちら
【採用情報 - RECRUIT -】チェスターで一緒に働きませんか?相続業務の魅力・給与・福利厚生ectはこちら
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る