親が所有している土地に、子どもや親族が同居している場合、万一名義人の方がお亡くなりになった際には、その自宅も相続税の対象となります。この場合、「小規模宅地等の特例」により相続税が減額されるのですが、万一、自宅の建て替え中に不幸が起こった場合も、特例の適用対象となるのでしょうか。
1.小規模宅地等の特例は建て替え中の自宅にも適用可能
>>無料会員に入会すると、実務で使えるオリジナル書式をプレゼント!!基本的には建て替え中であっても、小規模宅地等の特例は適用されます。また、相続が決まってから建て替えをする場合も、基本的には特例が適用されます。
ただし、適用にはいくつかの条件を満たす必要があります。ポイントは「相続人は誰か」「同居しているか」という2点です。
◆相続人が配偶者の場合
建て替え中かどうかにかかわらず、小規模宅地等の特例を受けることができます。
◆相続人が配偶者以外の親族(子どもなど)の場合
相続開始日に、相続人と一緒に住んでいたかどうかがポイントになります。ここでいう「相続開始日」とは、被相続人が亡くなった日のことを指します。
・相続開始日に相続人と同居していた場合
相続税の申告期限まで、該当の土地にある建物を居住地としている場合は特例が適用されます。「相続税の申告期限」は法律上、相続開始日から10ヶ月後に設定されており、この日まで継続して該当の居住地に住んでいることが条件となります。
ただし、建て替えのために一時的に居住地を移している場合は、例外として適用の対象となります。
・相続開始日に相続人と同居していなかった場合
相続人が被相続人と暮らしていなかった場合、適用のための条件は厳しくなります。例えば被相続人に配偶者や、すでに同居している親族がいた場合、特例は適用されません。
また、相続が開始したときに日本以外の住所を有していたときや、該当の土地を申告期限までに有していない場合も、特例の適用外となるので注意が必要です。
2.建て替え中の建物がある土地で小規模宅地等の特例が適用できない場合
上記条件を満たしていても、実は小規模宅地等の特例が適用されない場合があります。ここではよくある適用外の原因を3つご紹介します。
◆居住建物が複数ある場合
小規模宅地等の特例は、基本的に1か所にしか適用できません。そのため、例えば東京都に一軒、大阪府に一軒ずつ居住建物がある場合、どちらかは適用外となります。
◆別荘として使用している場合
小規模宅地等の特例は、あくまで居住用または事業用に使われていた建物にしか適用されません。ここでいう居住用建物とは、実際にメインで寝起きを行っている場所になるため、別荘は適用外となります。
◆相続税の申告期限を越えても移住していない場合
居住地の建て替えが終わったにも関わらず、相続税の申告期限を越えても該当の土地の建物に転居しない場合は、適用の対象外となります。
ただし、工事が終わっていないなど、居住できない理由がある場合はこの限りではありません。この場合は、工事終了後にすみやかに居住することで、適用が認められます。
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