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相続税の課税対象となる交通事故の損害賠償金

2021/01/20

1.相続税の課税対象となる交通事故の損害賠償金

交通事故により支払いを受ける損害賠償金は、相続税の課税対象となる場合があります。
国税庁タックスアンサーNo.4111(交通事故の損害賠償金)では「被害者が死亡したことに対して支払われる損害賠償金は相続税の対象とはなりません。(中略) なお、被相続人が損害賠償金を受け取ることに生存中決まっていたが、受け取らないうちに死亡してしまった場合には、その損害賠償金を受け取る権利すなわち債権が相続財産となり、相続税の対象となります。」とあります。

どのような場合に相続税の課税対象となるのか簡単にご説明しますと、下記(1)~(3)のポイントから判断をします。

(1)損害賠償金の支払原因
①被相続人の死亡:対象とならない
②その他:(2)へ

(2)支払対象者
①相続人:対象とならない
②被相続人:(3)へ

(3)支払決定時期
①生存中に決定:対象となる
②生存中未決定:対象とならない

(1)①の被相続人が死亡したことに対して支払われる損害賠償金や(2)①の相続人固有の慰謝料などについては、相続人の所得となるため相続税の対象とはなりません。

(3)①に該当した場合には、相続財産として相続税の対象となります。

※参考:国税庁タックスアンサーNo.4111(交通事故の損害賠償金)

2.参考事例

1(1)~(3)の判断のポイントについて、次の参考事例に当てはめ考えてみましょう。

〈時系列〉
平成30年1月 交通事故発生、同日から入院したが寝たきりの状態となる
平成31年1月 退院し、在宅介護となる
平成31年4月 損害賠償請求訴訟の申立て
令和2年1月 和解により請求額確定
令和2年2月 被害者死亡(相続開始)
令和2年3月 損害賠償金受取り

〈損害賠償請求金額〉
3500万
内訳:被相続人に対する損害賠償金 3000万、相続人固有の慰謝料 500万

〈当てはめ〉
(1)支払原因:②被相続人が被害者である交通事故(死亡ではない)
(2)支払対象者:①相続人 固有の慰謝料 500万 ②被相続人 損害賠償金 3000万
(3)支払決定時期:①生存中

上記の事例における相続税の課税対象は、被相続人に対する支払額3000万となり、相続人固有の慰謝料500万については相続税の課税対象にはなりません。

ちなみに、相続人固有の慰謝料は、非課税となりますので所得税はかかりません。

※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問合せフォーム→掲載記事に関するご指摘等」よりお問合せ下さい。但し、記事内容に関するご質問にはお答えできませんので予めご了承下さい。

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