チェスター相続税実務研究所
駐車場用建物の借家権有無
2014/09/08
以下の状況の車庫を建物賃貸用として貸家評価及び貸家建付地評価が出来るのでしょうか。
- ・車庫として、近所の法人及び個人に賃貸。
- ・建物はシャッターが占められており、独立的排他的な状況ではある。
- ・契約書の作成を失念しており、当初契約書も、更新契約書もない。
- ・建物は登記をされており、構築物ではなく建物として取り扱われている。
一般的には、建物の「賃貸借」であれば、借地借家法等の適用の可能性があると思われます。
しかしながら、借家法第8条には、「本法ハ一時使用ノタメ建物ノ賃貸借ヲナシタルコト明ナル場合ニハ之ヲ適用セス」と規定され、借地借家法第40条(一時使用目的の建物の賃貸借)には、「この章の規定は、一時使用のために建物の賃貸借をしたことが明らかな場合には、適用しない。」と規定されています。
ところで、当初契約書も、更新契約書もないということ及び一般に駐車場施設等の使用契約は、貸主及び借主のいずれからでも、多少の猶予期間を設ければ(又はすぐに)、特別な金員等の授受がなく、使用契約の合意解約(解除)が可能であるものと思われることから、上記の条文に該当することになるものと思われます。
このことは、居住用又は事業用での借家契約の契約条項(取決め)とは、賃料の多寡、保証金の有無・多寡、解約時の条件、その他諸条件が大きく異なることからも明らかであるように思われます。
なお、上記の条文の「一時」という意味は、期間の長短ではないものと解されています(事実関係等を総合勘案して判断)。
そうしますと、駐車場施設の使用契約が存する場合と同様に、自用地及び自用家屋の評価をすべきであるように考えられることから、財産評価上もそのように解することが、きわめて合理的であるように考えられます。
※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問合せフォーム→掲載記事に関するご指摘等」よりお問合せ下さい。但し、記事内容に関するご質問にはお答えできませんので予めご了承下さい。