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相次相続控除の適用可否について

2025/09/19

被相続人(父)は、前回の相続(一次相続)において、母から相続時精算課税の納付義務を承継したことにより、相続税を納付しました。
私(長男)は、今回の父の相続(二次相続)に際し、一次相続において父が納付した相続税について、相次相続控除の適用が受けられますか?

  1. 基本事項

(一次相続)

  • 被相続人:祖母
  • 相続人:叔父、亡母の代襲相続人(長男)
    なお、父及び長男が、亡妻(母)から相続時精算課税の納付義務を承継
  • 相続開始日:R1.11

(二次相続)

  • 被相続人:父
  • 相続人:子(長男)
  • 相続開始日:R7.5
  1. 前提条件
  • ① 母は、生前、祖母から相続時精算課税を適用して贈与財産を取得していた
  • ② 母は祖母より前に死亡した
  • ③ 一次相続において、父及び子(長男)は相続時精算課税の納付義務を母から承継した

〔イメージ〕

状況の図解

二次相続に係る被相続人(父)は、一次相続において相続財産を取得していませんので、二次相続に係る相続人(長男)は、相次相続控除の適用が受けられません。

解説

1.相次相続控除とは

相次相続控除は、前回の相続において課税された相続税額のうち、1年につき10パーセントの割合で逓減した後の金額を今回の相続に係る相続税額から控除するものです相法20)。

2.相次相続控除の適用を受けられる人

相次相続控除の適用を受けられる人は、次のすべてに当てはまる人です(相法20)。

  1. 今回の相続(以下「二次相続」という。)の相続人であること(※)
  2. 二次相続の開始前10年以内に開始した前回の相続(以下「一次相続」という。)により、その二次相続の被相続人が財産(一次相続に係る被相続人からの贈与により取得した第21条の9第3項の規定の適用を受けた財産を含む。)を取得していること
  3. 一次相続により取得した財産(一次相続に係る被相続人からの贈与により取得した第21条の9第3項の規定の適用を受けた財産を含む。)について相続税が課税されたこと

(※)相次相続控除の適用が受けられる人は、相続人に限定されていますので、相続の放棄をした人および相続権を失った人がたとえ遺贈により財産を取得しても、相次相続控除の適用をうけることはできません。

3.相続時精算課税の納付義務の承継

上記のとおり、相次相続控除は、相続人が取得した財産に着目して設けられたものです。

これに対し、相続時精算課税に係る相続税の納付義務の承継等は、特定贈与者(相続時精算課税の適用を受ける贈与をした人)の死亡以前に当該特定贈与者に係る相続時精算課税適用者(相続時精算課税の適用を受ける贈与を受けた人)が死亡した場合に、当該相続時精算課税適用者の相続人(包括受遺者を含みます)が、当該相続時精算課税適用者が有していた相続税の納付義務(還付を受ける権利を含みます)を承継するというものです(相法21の17①)。

したがって、相続時精算課税適用者の納付義務を承継した人(相続人)は、相続税を納付する義務を承継したものの、財産を取得したことにはなりません。

4.まとめ

以上のことから、二次相続に係る被相続人(父)は、一次相続において財産を取得しておりませんので、二次相続に係る相続人(長男)は、相次相続控除の適用が受けられないことになります。

5.根拠法令等

相続税法第20条
相続税法第21条の17第1項

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