チェスター相続税実務研究所
2割加算の対象範囲について②
2025/09/29
この度、私の兄が亡くなりました。
私は、被相続人の弟で、唯一の相続人ですが、被相続人と養子縁組をしていたので、被相続人の養子の地位も有しています。
このような場合、私は、相続税額の2割加算(相法18)の適用対象となるのでしょうか?
〔イメージ〕

相続税額の2割加算の適用対象とはなりません。
解説
相続人(弟)は、被相続人の養子の地位を有しております。
したがって、相続人(弟)は、養子の地位に基づけば、被相続人の一親等の血族に該当することとなりますので、相続税の2割加算の対象とはなりません(相法18)。
参考
(相続税額の加算)
第十八条 相続又は遺贈により財産を取得した者が当該相続又は遺贈に係る被相続人の一親等の血族(当該被相続人の直系卑属が相続開始以前に死亡し、又は相続権を失つたため、代襲して相続人となつた当該被相続人の直系卑属を含む。)及び配偶者以外の者である場合においては、その者に係る相続税額は、前条の規定にかかわらず、同条の規定により算出した金額にその百分の二十に相当する金額を加算した金額とする。2 前項の一親等の血族には、同項の被相続人の直系卑属が当該被相続人の養子となつている場合を含まないものとする。ただし、当該被相続人の直系卑属が相続開始以前に死亡し、又は相続権を失つたため、代襲して相続人となつている場合は、この限りでない。
引用:e-GOV法令検索「相続税法第十八条」
※下線等は筆者による
(概要)
相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得した人が、被相続人の一親等の血族(代襲相続人となった孫(直系卑属)を含みます。)および配偶者以外の人である場合には、その人の相続税額にその相続税額の2割に相当する金額が加算されます。(注1)被相続人の養子は、一親等の法定血族であることから、相続税額の2割加算の対象とはなりません。ただし、被相続人の養子となっている被相続人の孫は、被相続人の子が相続開始前に死亡したときや相続権を失ったためその孫が代襲して相続人となっているときを除き、相続税額の2割加算の対象になります。
(注2)相続時精算課税適用者が相続開始の時において被相続人の一親等の血族に該当しない場合であっても、相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得した時において被相続人の一親等の血族であったときは、その財産に対応する一定の相続税額については加算の対象になりません。
相続税額の2割加算の対象になる人
例えば、以下の方は相続税額の2割加算の対象になります。(1)被相続人から相続または遺贈により財産を取得した人で、被相続人の配偶者、父母、子ではない人(例示:被相続人の兄弟姉妹や、おい、めいとして相続人となった人)
(2)被相続人の養子として相続人となった人で、その被相続人の孫でもある人のうち、代襲相続人にはなっていない人
引用:国税庁 タックスアンサー「No.4157 相続税額の2割加算」
※下線等は筆者による
【照会要旨】
被相続人甲の子の配偶者Aが、甲の養子になっている場合、Aは相続税額の加算の規定の対象となる者に該当しますか。【回答要旨】
Aは、養子縁組後は被相続人の一親等の血族であることから、相続税額の加算の規定の対象となる者に該当しません。
引用:国税庁 質疑応答事例「被相続人の直系卑属でない者が養子となっている場合の相続税の2割加算」
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