チェスター相続税実務研究所
相続税の調査結果の説明について
2025/10/06
私の父は令和5年に亡くなり、相続税の申告書を期限内に提出しましたが、現在、その申告内容について税務署の調査を受けています。
税務署の最終的な調査結果は、どのように示されるのでしょうか。
税務署が調査を行った結果、是正すべきと認められる非違がある場合には、税務署の職員が、納税者の方に対し、是正すべきと認めた額やその理由などの調査結果の内容を説明(国税通則法74の11②)するとともに、修正申告を勧奨(国税通則法74の11③)することになります。
また、是正すべきと認められる非違がなかった場合には、税務署から「更正決定等をすべきと認められない」旨を通知する書面が送付されます(国税通則法74の11①)。
参考
国税通則法(抄)
(調査の終了の際の手続)
第七十四条の十一 税務署長等は、国税に関する実地の調査を行つた結果、更正決定等(第三十六条第一項(第二号に係る部分に限る。)(納税の告知)の規定による納税の告知を含む。以下この条において同じ。)をすべきと認められない場合には、納税義務者(第七十四条の九第三項第一号(納税義務者に対する調査の事前通知等)に掲げる納税義務者をいう。以下この条において同じ。)であつて当該調査において質問検査等の相手方となつた者に対し、その時点において更正決定等をすべきと認められない旨を書面により通知するものとする。2 国税に関する調査の結果、更正決定等をすべきと認める場合には、当該職員は、当該納税義務者に対し、その調査結果の内容(更正決定等をすべきと認めた額及びその理由を含む。)を説明するものとする。
3 前項の規定による説明をする場合において、当該職員は、当該納税義務者に対し修正申告又は期限後申告を勧奨することができる。この場合において、当該調査の結果に関し当該納税義務者が納税申告書を提出した場合には不服申立てをすることはできないが更正の請求をすることはできる旨を説明するとともに、その旨を記載した書面を交付しなければならない。
(以下省略)
引用:e-GOV法令検索「国税通則法 第七十四条の十一」
〔イメージ図〕
引用:国税庁「税務手続について~近年の国税通則法等の改正も踏まえて~」
※イメージ図内のカッコ付番号の説明は、上記のリンク先のパンフレットをご参照ください。)
解説
1.税務調査の手続規定が国税通則法に設けられた趣旨
平成23年12月の国税通則法改正により、税務調査手続に関する従来の運用上の取扱いが、法令上明確化されました。
国税庁は、法改正の趣旨を踏まえた上で、調査の実施に当たっては法令に定められた税務調査手続を遵守するとともに、調査はその公益的必要性と納税者の方の私的利益とのバランスを踏まえ、社会通念上相当と認められる範囲内で、納税者の方の理解と協力を得て行うものであることを十分認識し、その適正な遂行に努めると説明しています。
2.調査結果の説明の効果
税務調査において、調査結果の説明が行われた場合には、その調査結果の内容(誤りの内容、金額、理由)に基づき修正申告や期限後申告の勧奨が行われ、修正申告書や期限後申告書の提出がない場合には、更正・決定等の課税処分が行われることになります(国税通則法74条の11②)。
つまり、調査結果の説明は、調査が終了した場合に行わなければならない法定の手続といえます。
3.調査途中に調査担当者から非違事項の指摘が行われた場合
税務署の調査担当者が、税務調査の途中で非違事項を指摘することは多々あります。
このような指摘が行われた場合には、指摘内容(指摘された内容、金額、理由(証拠))を明らかにするよう求めましょう。
なお、このような指摘は、調査担当者が、担当者自身の感触として伝えている場合が多いので、もし、指摘内容に疑問がある場合には、税務署の担当統括官(調査担当者の名刺には「○○税務署資産課税第○部門などの記載があり、その部門の管理者を「統括官」といいます。)に対し、調査担当者の指摘が調査結果の説明に当たるのか否かを問い合わせ、確認を求めましょう。
4.調査結果の説明が行われた場合の対応
税務署が、調査結果の説明及び修正申告の勧奨を行った場合に、修正申告の勧奨に応じるかどうかは、納税者の判断に委ねられますが、修正申告の勧奨に応じないときは、調査結果に基づき更正処分等が行われることになります。
なお、納税者が、修正申告の勧奨に応じ、修正申告を行った場合には、不服申立てができなくなりますので、調査結果の説明内容に納得できないときは、更正処分等が行われるのを待って、不服申立てを行う必要があります。
まとめ
税務調査が行われた場合には、税務署の対応を正確に見極め、適切に対応することが重要です。
税理士法人チェスターは、すべての申告において税務調査リスク回避につながる相続税申告書の作成に努めるとともに、すべての申告において書面添付制度を導入するなどリスク軽減に努めております。
相続税申告は税理士法人チェスターにご相談ください。
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