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相続税の修正申告に対する更正の請求について

2025/10/14

私の父は令和5年に亡くなり、相続税の申告書を期限内に提出しました。
令和7年8月に税務署の調査を受け、調査結果の説明及び修正申告の勧奨に従い9月に相続税の修正申告書を提出しましたが、修正申告書の提出後、どうしても納得できない部分が出てきました。
このような場合、税務署に見直しを求めることはできますか?

税務署の調査を受け、調査結果の説明及び修正申告の勧奨に従い修正申告書を提出した場合、提出した修正申告書の内容についての不服申立てはできませんが、法定申告期限から5年以内に限り更正の請求(国税通則法23)を行うことが可能です(国税通則法74の11③)。

ただし、更正の請求に関する立証責任は納税者側にあるとされておりますので、更正の請求を行うに当たっては、修正申告書の内容について誤りがあったことを明らかにする「事実を証明する書類」の添付が必要となりますのでご注意ください。

参考:国税庁「平成23年度 更正の請求の改正のあらまし

参考

国税通則法(抄)

(更正の請求)
第二十三条 納税申告書を提出した者は、次の各号のいずれかに該当する場合には、当該申告書に係る国税の法定申告期限から五年(第二号に掲げる場合のうち法人税に係る場合については、十年)以内に限り、税務署長に対し、その申告に係る課税標準等又は税額等(当該課税標準等又は税額等に関し次条又は第二十六条(再更正)の規定による更正(以下この条において「更正」という。)があつた場合には、当該更正後の課税標準等又は税額等)につき更正をすべき旨の請求をすることができる。

一 当該申告書に記載した課税標準等若しくは税額等の計算が国税に関する法律の規定に従つていなかつたこと又は当該計算に誤りがあつたことにより、当該申告書の提出により納付すべき税額(当該税額に関し更正があつた場合には、当該更正後の税額)が過大であるとき。

  (中略)

3 更正の請求をしようとする者は、その請求に係る更正後の課税標準等又は税額等、その更正の請求をする理由、当該請求をするに至つた事情の詳細、当該請求に係る更正前の納付すべき税額及び還付金の額に相当する税額その他参考となるべき事項を記載した更正請求書を税務署長に提出しなければならない。

  (以下省略)

引用:e-GOV法令検索「国税通則法 第二十三条
※下線部は筆者による

(調査の終了の際の手続)
第七十四条の十一 税務署長等は、国税に関する実地の調査を行つた結果、更正決定等(第三十六条第一項(第二号に係る部分に限る。)(納税の告知)の規定による納税の告知を含む。以下この条において同じ。)をすべきと認められない場合には、納税義務者(第七十四条の九第三項第一号(納税義務者に対する調査の事前通知等)に掲げる納税義務者をいう。以下この条において同じ。)であつて当該調査において質問検査等の相手方となつた者に対し、その時点において更正決定等をすべきと認められない旨を書面により通知するものとする。

2 国税に関する調査の結果、更正決定等をすべきと認める場合には、当該職員は、当該納税義務者に対し、その調査結果の内容(更正決定等をすべきと認めた額及びその理由を含む。)を説明するものとする。

3 前項の規定による説明をする場合において、当該職員は、当該納税義務者に対し修正申告又は期限後申告を勧奨することができる。この場合において、当該調査の結果に関し当該納税義務者が納税申告書を提出した場合には不服申立てをすることはできないが更正の請求をすることはできる旨を説明するとともに、その旨を記載した書面を交付しなければならない。

(以下省略)

引用:e-GOV法令検索「国税通則法 第七十四条の十一

【イメージ図】

相続税の修正申告に対する更正の請求のイメージ図

解説

1.国税通則法の改正

平成23年12月2日に、平成23年度税制改正に関する法律「経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための所得税法等の一部を改正する法律」(平成23年法律第114号)が公布され、国税通則法における更正の請求期間の延長などの改正が行われました。

改正事項は2.以下をご覧ください。

参考:国税庁「更正の請求期間の延長等について

2.更正の請求期間の延長

上記1.の改正により、平成23年12月2日以後に法定申告期限が到来する国税について、更正の請求ができる期間が法定申告期限から原則として5年に延長されました。

3.更正の請求範囲の拡大

当初申告の際、申告書に適用金額を記載した場合に限り適用が可能とされていた措置のうち、一定の措置については、更正の請求(又は修正申告書)の提出により事後的に適用を受けることができるようになりました。

引用:国税庁「更正の請求期間の延長等について

相続税関係の当初申告要件が廃止された措置は次のとおりです。

  • 配偶者に対する相続税額の軽減(相法19の2
  • 贈与税の配偶者控除(相法21の6
  • 相続税における特定贈与財産の控除(相令4

4.「事実を証明する書類」の添付義務の明確化

更正の請求に際しては、更正の請求の理由の基礎となる、「事実を証明する書類」の添付が必要となることが明確化されました。

引用:国税庁「更正の請求期間の延長等について

5.偽りの記載をして更正の請求書を提出した者に対する罰則の創設

内容虚偽の記載をして更正の請求書を提出した者に対する罰則(1年以下の懲役又は50万円以下の罰金)が設けられました。

引用:国税庁「更正の請求期間の延長等について

まとめ

税務調査が行われた場合、納税者が、税務署の調査結果の説明に基づいて修正申告書を提出し、その後に更正の請求を行った方が、リスクが少なくて済むという声を時々耳にします。

しかしながら、税務署が更正処分等を行う場合の立証責任は税務署側にありますが、納税者が更正の請求を行う場合の立証責任は納税者側にありますので、注意が必要です。

そういう意味で、税務署の調査結果の説明に納得がいかない場合には、税務署の更正処分等が行われるのを待って、更正処分等に対し不服申立てをした方が、立証責任の観点から納税者側が有利となります。

税理士法人チェスターは、すべての申告において税務調査リスク回避につながる相続税申告書の作成に努めるとともに、税務調査が行われた場合には、税務署の対応を正確に見極めた適切な対応を心掛けております。

相続税申告や税務調査の対応は、税理士法人チェスターにご相談ください

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