チェスター相続税実務研究所
小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等)の適用可否について⑧
2026/04/17
被相続人(長女)が亡くなりました。
被相続人(長女)が所有し、居住の用に供していた自宅(土地・建物)は、相続人である母(老人ホーム入居中(住民票は長男が居住する賃貸物件にあり、所有不動産なし))が取得しました。
相続人である母は、小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等:「家なき子」)の適用を受けることができますか?
相続人である母は、小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等:「家なき子」)の適用を受けることができると考えます。
基本事項
- 被相続人:長女(独身)
- 相続人: 母(自宅の所有なし、日本国籍あり)
- その他の親族:長男(独身)
(イメージ)

判断理由
1.小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等:「家なき子」)の要件
イ 特定居住用宅地等
相続開始の直前において被相続人等の居住の用に供されていた宅地等で、次の要件に該当する被相続人の親族が相続または遺贈により取得したものをいいます(措置法69条の4①)。
ロ 「家なき子」の要件
次の(1)から(6)の要件をすべて満たすこと。
- (1)居住制限納税義務者または非居住制限納税義務者のうち日本国籍を有しない者ではないこと。
- (2)被相続人に配偶者がいないこと。
- (3)相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋に居住していた被相続人の相続人(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合の相続人)がいないこと。
- (4)相続開始前3年以内に日本国内にある取得者、取得者の配偶者、取得者の三親等内の親族または取得者と特別の関係がある一定の法人が所有する家屋(相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋を除きます。)に居住したことがないこと。
- (5)相続開始時に、取得者が居住している家屋を相続開始前のいずれの時においても所有していたことがないこと。
- (6)その宅地等を相続開始時から相続税の申告期限まで有していること。
参考:e-GOV法令検索「措置法69条の4③二」
ハ 当てはめ
- (イ) C市所在の自宅は、相続開始の直前において被相続人等の居住の用に供されていた宅地等に該当します。
- (ロ) 相続人である母は居住無制限納税義務者であり、かつ、日本国籍を有します。
- (ハ) 被相続人に配偶者はいません。
- (ニ) 相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋に居住していた被相続人の相続人はいません。
- (ホ) 相続人である母は、相続開始前3年以内に日本国内にある取得者、取得者の配偶者、取得者の三親等内の親族または取得者と特別の関係がある一定の法人が所有する家屋(相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋を除きます。)に居住したことがありません。
- (ヘ) 相続開始時に、相続人である母が居住している家屋を相続開始前のいずれの時においても所有していたことがありません。
- (ト) 相続人である母は、その宅地等を相続開始時から相続税の申告期限まで有しております。
ニ 結論
相続人である母は、小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等:「家なき子」)の要件を満たすと考えられます。
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