チェスター相続税実務研究所
教育資金の贈与
2026/04/28
祖父が、孫の私立中学の入学金等の支払いを支援してくれると申し出てくれました。
このような場合、贈与税の課税が生じないようにするにはどういう点に注意すれば良いでしょうか?
贈与税がかからないように教育資金の支援を受けるには、主に2つの方法が考えられます 。
- (第1案)
毎年、贈与税の基礎控除額(110万円)の範囲内で、まとめて資金の贈与を受ける方法 - (第2案)
入学金や学費の支払いの都度、必要な額の贈与を受け、学校の振込先口座等に振り込む方法
【イメージ】

解説
教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置については、令和8年度税制改正において適用期限(令和8年3月31日)が延長されなかったため、終了しました。
ただし、一定の要件を満たす教育資金の贈与については、従来から、贈与税が非課税とされており、また、贈与税には基礎控除額(110万円)があることから、これらを上手に使って贈与を受ければ、教育資金の負担を軽減することが可能となります。
それでは、その使い方について確認してみましょう。
(1)第1案
贈与税は、その年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産の価額の合計額から暦年課税に係る基礎控除額110万円を差し引いた残りの額に対してかかります。
したがって、1年間にまとめて贈与を受けた金銭の合計が110万円以下であれば贈与税はかかりません(この場合、贈与税の申告は不要です。)。
参考:国税庁「No.4402 贈与税がかかる場合」
なお、第1案を選択された場合、贈与を受けた同年中に、例えば別の用途のために金銭の贈与等を受けていたときは、それらを合算した金額が贈与税の課税対象となりますので、注意が必要です(合算した結果、贈与を受けた額が基礎控除額(110万円)を超えた場合は、超えた額に対して贈与税が課税されます。)。
(2)第2案
扶養義務者相互間において教育費に充てるために贈与を受けた金銭で、「通常必要と認められるもの」については、贈与税の課税対象となりません(相続税法21の3①二)(この場合も贈与税の申告は不要です。)。
(注)
1.扶養義務者とは、次の者をいいます。
①配偶者
②直系血族及び兄弟姉妹
③家庭裁判所の審判を受けて扶養義務者となった三親等内の親族
④三親等内の親族で生計を一にする者
なお、扶養義務者に該当するかどうかは、贈与の時の状況により判断します。
2.教育費とは、被扶養者(子や孫)の教育上通常必要と認められる学資、教材費、文具費等をいい、義務教育費に限られません。
なお、ここでいう「通常必要と認められるもの」とは、贈与を受けた方(被扶養者)の需要と贈与をした方(扶養者)の資力その他一切の事情を勘案して社会通念上適当と認められる範囲の財産とされています(相基通21の3-6)。
参考:国税庁「扶養義務者(父母や祖父母)から「生活費」又は「教育費」の贈与を受けた場合の贈与税に関するQ&A」
つまり、教育費に充てるために金銭の贈与を受けた場合で、贈与税の非課税の適用を受けるためには、教育資金の贈与を受けるタイミング(「教育費の支払いに必要な都度」の贈与であること)と贈与を受けた金額と教育費として支払う額との直接的な関連性(「直接、教育費の支払いに充てるために贈与を受けた財産」であること)が重要ということになります(相基通21の3-5)。
なお、入学金を含む3年分の学費に充てるための金銭を一括で贈与を受けた場合には、「贈与のタイミング」と「贈与を受けた金額と教育費として支払う額」との直接的な関連性が一致しないことから、一致しなかった部分は贈与税の課税対象となります(相基通21の3-5)。
参考:国税庁「扶養義務者(父母や祖父母)から「生活費」又は「教育費」の贈与を受けた場合の贈与税に関するQ&A 」
まとめ
諸物価が高騰する中、教育費の負担は頭の痛い問題で、その教育資金を支援してくれるとのお申し出は、本当にありがたいことです。
そのありがたいお申し出を十分に生かすためにも、贈与税がかからないように工夫することはとても重要だと思います。
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