チェスター相続税実務研究所
マンション通達の適用範囲④
見つけやすくなります
2026/07/24
被相続人甲の相続人は、配偶者乙、子丁の二人です。
被相続人は、亡くなる1年前、所有する自宅マンション(区分所有権)の床の過半及び間仕切壁の室内に面する部分の過半についてリフォーム工事(工事費800万円)を行いました。
居住用の区分所有権(一室の区分所有権等)には、国税庁個別通達「居住用の区分所有財産の評価について」(以下「マンション通達」といいます。)が適用されると聞きましたが、このようなリフォーム工事に対してもマンション通達が適用されるのでしょうか。
ご質問のようなリフォーム工事に対しマンション通達は適用されないと考えます。
前提条件
- 被相続人甲の相続人は、配偶者乙、子丁の2名
- 相続開始は令和7年12月
〔イメージ〕

判断理由
1.マンション通達の趣旨
マンション通達は、居住用の区分所有財産(いわゆる分譲マンション)における相続税評価額と売買実例価額との間の乖離の実態を踏まえ、課税の公平を図りつつ、納税者の予見可能性を確保する観点から適正化を図ることを目的として発遣されたものです。
したがって、マンション通達の適用対象は、一室の区分所有権等(一棟の区分所有建物に存する居住の用に供する専有部分一室に係る区分所有権及び敷地利用権)となります。
ここでいう一棟の区分所有建物とは、区分所有者が存する家屋で、居住の用に供する専有部分のあるものをいい、ここでいう「区分所有者」とは、区分所有法1条《建物の区分所有》に規定する建物の部分を目的とする所有権(区分所有権)を有する者をいうこととされています。
また、ここでいう区分所有権は、一般に、不動産登記法(平成16年法律123号)2条《定義》22号に規定する区分建物の登記がされることによって、外部にその意思が表示されて成立するとともに、その取引がなされることを踏まえ、「一棟の区分所有建物」は、同号に規定する区分建物の登記がされたものに限られることとされています(令和6年5月14日付国税庁資産評価企画官情報第2号ほか「居住用の区分所有財産の評価に関するQ&A」4頁)。
2.リフォーム工事とマンション通達との関係
マンション通達では、居住用の区分所有財産(いわゆる分譲マンション)の相続税評価額と売買実例価額との間の乖離の要因を、①築年数、②総階数指数、③所在階及び④敷地持分狭小度によるとした上で、これらの指数を前提に評価乖離率を求める評価方法を採用しています。
分譲マンションの所有者が個別に行った本件リフォーム工事は、乖離の要因(①築年数、②総階数指数、③所在階及び④敷地持分狭小度)や評価水準に影響を与えるものではありません。
3.まとめ
以上のことからすると、本件リフォーム工事は、不動産登記法に基づく区分建物の登記がされた部分の変更には当たらず、また、乖離の要因(①築年数、②総階数指数、③所在階及び④敷地持分狭小度)や評価水準に影響を与えるものでもないため、このようなリフォーム工事に対しマンション通達は適用されないと考えます。
4.補足
所有する家屋について増改築を行った場合で、増改築等に係る家屋の状況に応じた固定資産税評価額が付されていないときは、その増改築等に係る部分の再建築価額から課税時期までの間における償却費相当額を控除した価額の100分の70に相当する金額により評価するとされています。
参考:国税庁 質疑応答事例(財産評価)「増改築等に係る家屋の状況に応じた固定資産税評価額が付されていない家屋の評価」
したがって、被相続人が、亡くなる1年前に行った、所有する自宅マンション(区分所有権)の床の過半及び間仕切壁の室内に面する部分の過半及び間仕切壁の室内に面する部分の過半のリフォーム工事(工事費800万円)については、上記取扱いに準じて評価する必要があると考えられます。
【根拠法令等】
- 国税庁 令和5年10月11日付資産評価企画官情報第2号ほか「「居住用の区分所有財産の評価について」(法令解釈通達)の趣旨について(情報)」
- 国税庁 令和6年5月14日付国税庁資産評価企画官情報第2号ほか「居住用の区分所有財産の評価に関するQ&A」
- 区分所有法第1条
- 不動産登記法(平成16年法律123号)第2条第22号
- 国税庁 質疑応答事例(財産評価)「増改築等に係る家屋の状況に応じた固定資産税評価額が付されていない家屋の評価」
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