チェスター相続税実務研究所
小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等)の適用可否について⑨
見つけやすくなります
2026/08/21
被相続人(夫)が亡くなりました。相続人は妻と長男の2人です。
被相続人が居住する東京都内の自宅(①)、妻が居住する千葉の別宅(②)及び長男が居住する東京都内のマンション(③)につき、①及び②を妻が、③を長男が分割取得する予定ですが、これらの宅地等は、小規模宅地等の特例における特定居住用宅地等に該当しますか?
- 被相続人が居住する東京都内の自宅
被相続人が居住する東京都内の自宅は、被相続人の特定居住用宅地等に該当すると考えます。 - 妻が居住する千葉の別宅
妻が居住する千葉の別宅は、被相続人の特定居住用宅地等には該当しないと考えます。 - 長男が居住する東京のマンション
長男が居住する東京都内のマンションは、生計を一にする親族の特定居住用宅地等に該当すると考えます。
〔イメージ〕

基本事項
- 被相続人
被相続人所有の東京都内の自宅に居住
千葉にある別宅には、月に数日、妻に会いに行く程度 - 妻(無職)
以前は東京都内のマンションで被相続人と同居
現在は被相続人所有の千葉の別宅に居住し、趣味のガーデニングを行う
東京都内の自宅には、月に数日、被相続人に会いに行く程度(住民票は東京都内の自宅に置いたまま)
将来的に、被相続人は、千葉の別宅で妻と同居する予定だったが、千葉の別宅に居住したことはなかった - 長男(大学生)
入学前は東京都内のマンションで被相続人及び妻と同居
大学入学後、大学に近い東京都内の被相続人所有のマンションで一人暮らし
住民票は当該マンションに異動、生活に必要な家具、電化製品等も保有
※上記不動産は全て被相続人の単独所有(被相続人に対する家賃の支払いなし)
※妻及び長男は被相続人の収入に基づき生活しており、扶養親族に該当
解説
1. 被相続人が居住する自宅への特例適用
租税特別措置法(以下「法」)69条の4第3項2号により、配偶者が被相続人の特定居住用宅地等を取得した場合には、同居の有無に関わらず特例の適用が認められます。
被相続人が居住する東京都内の自宅は、被相続人の特定居住用宅地等に該当しますので、妻が当該宅地等を取得した場合、妻は小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等)の適用を受けられると考えます。
2. 妻が居住する千葉の別宅への特例適用
(1)被相続人の特定居住用宅地等該当性
被相続人の「主たる生活の本拠」は、1箇所に限られます(措通69の4-7)。本件における被相続人の生活の本拠は、東京都内の自宅と認められますので、妻が専ら居住する千葉の別宅は、被相続人の特定居住用宅地等には該当しないと考えます。
(2)生計を一にする親族の特定居住用宅地等該当性
法69条の4第3項2号かっこ書きは、同号イ(同居親族)、ロ(家なき子)及びハ(生計一親族)の親族から「配偶者」を除いていますので、同号ハの親族等に配偶者は含まれないと考えます。
また、妻は、千葉の別宅に居住しているものの、居住目的は趣味のガーデニングを行うためと認められること、東京都内の自宅には、月に数日、被相続人に会いに行っていること、住民票は東京都内の自宅に置いたままであることからすると、妻が居住している千葉の別宅は、主として趣味、娯楽又は保養の用に供する目的で有する建物に該当すると考えられます。
以上のことから、千葉の別宅は、特定居住用宅地等には該当しないと考えます。
参考:国税庁「小規模宅地等の特例の対象となる「被相続人等の居住の用に供されていた宅地等」の判定」
(3) 長男が居住する東京都内のマンションへの特例適用
長男は、大学生で、被相続人が生活費を負担しており、被相続人の扶養親族に該当することから、法69条の4第3項2号ハに規定する生計を一にする親族に該当すると考えられます。
また、長男は、東京都内のマンションを居住の用に供していることから、東京都内のマンションは、被相続人と生計を一にする親族の特定居住用宅地等に該当すると考えられます。
したがって、東京都内のマンションを相続により取得した長男が、相続税の申告期限まで所有・居住を継続すれば、長男は、小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等)の適用を受けられると考えます。
(4) 実務上の留意点
本特例を適用できる面積は、特定居住用宅地等全体で330㎡が限度です。
本件のように「東京都内の自宅」と「東京都内のマンション」の双方が特例の要件を満たした場合には、税負担の面から相続税の節税効果が最大となるよう、有利な宅地を選択することが重要です。
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