チェスター相続税実務研究所
お一人様の相続税対策(国立大学法人への株式寄附)
見つけやすくなります
2026/09/17
私は独身で、自分の推定相続人は甥や姪となります。
ある程度の財産は甥や姪に遺してあげたいと思いますが、上場株式(時価5,000万円相当)については、甥姪ではなく、教育のために使って欲しいと考えています。
そこで、自分が元気なうちに、出身大学である国立大学法人Aに対し、上場株式(時価5,000万円相当)を生前寄附することを検討しています。
国立大学法人Aに対し上場株式(時価5,000万円相当)を生前寄附するにあたり、課税上、注意しなければならない点があれば教えてください。
今回ご検討されている上場株式の寄附については、原則、みなし譲渡所得課税の対象となり(所得税法59)、あなたは、寄附した年分の所得税(みなし譲渡所得)の確定申告を行う必要が生じます。
ただし、あなたが、租税特別措置法40条(以下「措置法40条」)の規定に基づく非課税承認申請を行い、国税庁長官の承認を受けることができれば、みなし譲渡所得課税は非課税となります。
したがって、国立大学法人Aへの上場株式の寄附を行うにあたり、課税上、注意していただくべき点は、措置法40条の規定に基づく国税庁長官の承認を受けるための準備を、寄附の前に確実に行うことです。
〔イメージ〕

基本事項
- 寄附者や寄附者の親族で国立大学法人Aの役員等に該当する者はいません。
- 寄附財産である上場株式(時価5,000万円相当)は親からの相続により取得したものです。
解説
1.個人が国立大学法人に上場株式を生前寄附した場合の課税関係

2.措置法40条の非課税承認制度
措置法40条の非課税承認制度には、「一般特例」と「承認特例」の2つの制度があり、それぞれ対象となる法人の種類や承認要件などが異なります。
「一般特例」は、公益法人等に財産を寄附した場合において、その寄附が公益の増進に著しく寄与することなどの要件を満たすものとして非課税承認を受けたときに、その寄附に対する所得税(みなし譲渡所得課税)を非課税とする制度です(措法40①後段、措令25の17⑤)。
一方、「承認特例」は、承認特例対象法人に財産を寄附した場合において、寄附をした人が寄附を受けた法人の役員等に該当しないことなどの要件を満たすものとして非課税承認を受けたときに、その寄附に対する所得税(みなし譲渡所得課税)を非課税とする制度です(措法40①後段、措令25の17⑦)。
「承認特例」には、承認申請書の提出があった日から1か月(又は3か月(寄附先によって異なります。))以内にその申請について非課税承認がなかったとき、又は非課税承認をしないことの決定がなかったときは、その申請について非課税承認があったものとみなされる自動承認の仕組みが設けられるなど、「一般特例」と比べ、要件が大幅に緩和されている特徴があります(措令25の17⑧)。
参考:国税庁「公益法人等に財産を寄附した場合における 譲渡所得等の非課税の特例のあらまし」
3.措置法40条(承認特例)の承認を受けるまでの流れ
承認特例の適用を受けるには、次の要件を全て満たす必要がありますが、本件は、承認特例の適用を受けられる可能性が高いと考えられます。
- 要件1:寄附をした人が寄附を受けた法人の役員等及び社員並びにこれらの人の親族等に該当しないこと
- 要件2:寄附財産について、寄附を受けた法人において、一定の業務に充てるための基金に組み入れる方法等により管理されていること
- 要件3:寄附を受けた法人の理事会等において、寄附の申出を受け入れること及び上記2の組み入れが決定されていること
したがって、寄附をする方と寄附を受ける法人との間で、要件を確実に満たすことができるよう、寄附前に十分な調整を行っておくことが重要です。
なお、措置法40条(承認特例)の承認を受けるまでの流れは次のとおりとなります。

4.非課税承認が取り消される場合
非課税承認を受けた後であっても、承認特例に係る非課税承認を受けた人が、寄附財産を基金に組み入れる方法等により管理されたことが確認できる書類を提出すべき期限までに提出しなかった場合には、非課税承認が取り消されますので、ご注意が必要です(措法40②、措令25の17⑨、⑩)。
まとめ
自分の財産をどのように遺していくかを検討する上で、どのような課税関係が生じるかを確認しておくことは大変重要なことです。
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