チェスター相続税実務研究所
高齢者向け賃貸住宅はサービス付き高齢者向け住宅に該当するか
2015/10/13
Q: 被相続人(要介護4)は高齢者専用賃貸住宅に介護のために入居していましたが、平成26年12月に死去しました。以前自宅として居住していた敷地は、施設入居前から同居していた長男が承継予定です。小規模宅地等の特例は適用可能でしょうか?
A: 被相続人が老人ホームなどに入居していた場合に、特定居住用宅地等として小規模宅地等の特例の適用を受けるには、以下が要件となります。
1、 被相続人が要介護認定又は要支援認定を受けていていた。
2、 被相続人が次のイ、ロ、ハ の住居又は施設に入居していた。
イ 認知症対応型老人共同生活援助事業が行われる住居、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム又は有料老人ホーム
ロ 介護老人保健施設
ハ サービス付き高齢者向け住宅
ところで、ハのサービス付き高齢者向け住宅というのは、平成23年の「高齢者住まい法」改正により、改正前に登録のあった①高齢者円滑入居賃貸住宅(以下、高円賃)②高齢者専用賃貸住宅(以下、高専賃)③高齢者向け優良賃貸住宅(以下、高優賃)が廃止されて、サービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)に一本化する形で創設された施設をいいます。従来の「高円賃」、「高専賃」、「高優賃」は、高齢者向けではあるものの、サービスの提供や介護の部分が登録条件に含まれていませんでしたが、「サ高住」は一定のサービスを提供する高齢者住宅の整備を目標に創設された制度で、ハード面の基準や介護サービスについての基準、入居時の金銭のやりとりにも基準が設けられました。又、既存の①、②、③は「サ高住」へ移行登録できる制度が創設されています。
今回の被相続人は、改正前の「高専賃」に入居していたわけですが、これが「サ高住」に該当するのかどうか、が小規模宅地等の特例の適用の有無の決め手となります。
「サ高住」は、サービス付き高齢者向け住宅事業を行う者によって、サービス付き高齢者向け住宅として、都道府県知事に登録されたものをいいますので、原則的には「高専賃」は「サ高住」に該当しません。
ただし、H23年の「高齢者住まい法」改正に伴う移行途中であった場合は、該当する可能性があると考えられます。
相続開始時点において、被相続人が入居していた「高専賃」で現に「サ高住」と同一のサービスが提供されており、しかも「サ高住」としての登録申請中であったとしたら、適用できる可能性があると考えられますが、相続開始時点において移行への許可申請がされていないようであれば、該当しないものと考えられます。
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