チェスター相続税実務研究所
相場より安い賃料の建物を貸家建付地として評価する場合
2015/11/24
相続財産の中に、相場より安い賃料で貸し付けていた建物があったとします。
貸家建付地として評価できるでしょうか?又、小規模宅地等の特例の適用が認められるでしょうか?
無償(使用貸借)であった場合は、自用地として評価します。
「無償」には、固定資産税程度の収受がある場合も含まれます。
その根拠は、民法第595条で使用貸借について
『借主は、借用物の通常の必要費を負担する。』
と規定していて、固定資産税の負担は通常の必要費の負担に該当するためです。
難しいのは、相場よりは安いけれど、固定資産税よりは高いケースです。
実務上の判断は難しく一概には言えないのですが、
賃料 > 固定資産税 + その他の必要経費
となっていれば、貸家建付地として評価できる可能性はあります。
では、小規模宅地等の特例の適用は認められるでしょうか?
小規模宅地等の特例は、事業と称するに至らない不動産の貸付けであっても、
① 「相当な対価」を得て
② 継続的に行われている
ものであれば、適用が可能です。
① の相当な対価とは、通常の世間相場程度であると認められるような金額をいいます。
② については、相続開始時点での貸付期間が短かったとしても、契約においてその貸付が
相当期間継続して行われるかどうかで判断します。
従って、例えば親族に対する貸付であることから、賃料水準が相場より相当低めに決められていたというケースの場合は、貸家建付地として評価は可能であっても、小規模宅地等の特例の適用は認められないことになります。
※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問合せフォーム→掲載記事に関するご指摘等」よりお問合せ下さい。但し、記事内容に関するご質問にはお答えできませんので予めご了承下さい。