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安い家賃で貸している建物は小規模宅地の特例の適用が受けられるか

2016/03/14

以下のケースで、小規模宅地等の特例の適用はうけられるでしょうか?

・被相続人は、特定同族会社の役員(保有株式50%超)です。
・被相続人の所有する土地に、被相続人が建物を建てて、相続開始前からその建物は同族会社が営業する店舗として利用されています。
・相続人(株式の取得者)も役員です。
・以前は相場の家賃で貸し付けていましたが、近年は同族会社の経営状態の悪化により、固定資産税相当額より安い家賃で同族会社に貸し付けています。

 相続人の方のお話では、
「無償で貸してしまうと、相続が発生した時に自用地評価になってしまうので、安くても賃料を収受していた。」
のだそうです。

上記の条件で、特定同族会社事業用宅地等に該当し、小規模宅地等の特例が受けられるでしょうか?

このケースでは、受けられません。
被相続人の所有する建物が、特定同族会社が営業する店舗として利用されていること、
安くても無償ではなく、家賃を収受していたこと、法人役員要件、保有継続要件を満たしていることから、一見、特定同族会社事業用宅地等の適用が受けられるように見えるかもしれません。

しかし、小規模宅地の特例の適用を受けるための大原則は、
『個人が相続又は遺贈により取得した財産のうちに、当該相続の開始の直前において、当該相続若しくは遺贈に係る被相続人等の事業の用又は居住の用に供されていた宅地等』
でなければなりません。(措69条の4第1項)

つまり、被相続人等の「事業の用」に供されていた宅地等であることが要件となります。

この「事業」については、準事業を含みます。

準事業とは、事業ほど規模が大きくなくても、
①相当の対価を得て ②継続的に行うもの なら可となります。
※「相当の対価」は通常の世間相場程度であると認められるような金額のことで、固定資産税相当額よりも安い対価では、被相続人の事業の用に供されていた宅地とはいえません。
この要件に伴って、貸付事業用宅地等の適用も不可です。

かつ、今回のケースでは、小規模宅地等の特例が適用できないだけではなく、貸家建付地として評価することも不可となり、自用地評価となります。
(小規模宅地等の特例は適用できないが、貸家建付地評価は出来たケースについては、
過去の『相場より安い賃料の建物を貸家建付地として評価する場合』をご参照下さい。)

※この記事は専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。なお、ご指摘がある場合にはお手数おかけ致しますが、「お問合せフォーム→掲載記事に関するご指摘等」よりお問合せ下さい。但し、記事内容に関するご質問にはお答えできませんので予めご了承下さい。

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