チェスター相続税実務研究所
一次相続につき重加算税が課された場合の相次相続控除
2017/03/31
以下の事情の下、100万円と35万円の税額はBの相続にかかる相続税申告において、相次相続控除の計算に算入されるのでしょうか。
① 平成23年、Aが死亡し、配偶者Bら相続人は相続税の申告をし、納税した。
② 税務調査が入り、B名義のAに帰属する財産(いわゆる名義財産)の申告がされておらず、仮装・隠ぺいがあるとして、相続税の本税100万円と重加算税35万円が課された。
③ 平成27年、Bの相続が発生した。
相次相続控除は、相続税法20条に規定されており、一部を抜粋すると、
「相続・・・により財産を取得した場合において、当該相続(以下この条において「第二次相続」という。)に係る被相続人が第二次相続の開始前十年以内に開始した相続(以下この条において「第一次相続」という。)により財産・・・を取得したことがあるときは、当該被相続人から相続により財産を取得した者については、第十五条から前条までの規定により算出した金額から、当該被相続人が第一次相続により取得した財産・・・につき課せられた相続税額(延滞税、利子税、過少申告加算税、無申告加算税及び重加算税に相当する相続税額を除く。第一号において同じ。)に相当する金額に次の各号に掲げる割合を順次乗じて算出した金額を控除した金額をもつて、その納付すべき相続税額とする。」
と規定されています。
以上のことからすると、重加算税の35万円については、Bの相続の際に相次相続控除の適用はないことになります。
では、本税の100万円についてはどうなるのでしょうか。
「重加算税に相当する相続税額」に本件の100万円が含まれるかが問題となります。
ここで、国税通則法60条4項と69条をみると、
「第六十条 4 延滞税は、その額の計算の基礎となる税額の属する税目の国税とする。」
「第六十九条 過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税及び重加算税(以下「加算税」という。)は、その額の計算の基礎となる税額の属する税目の国税とする。」
これらの規定と併せて読むと、相続税法20条は、本税のみが相次相続控除の対象になるということを示していると考えられます。
したがって、本件においても、100万円の本税については、「重加算税に相当する相続税額」に含まれず、相次相続控除の計算に算入されることになります
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